第二章
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完治はまず無理だと結論が出て治療費の問題もあり。
一度は安楽死が決定した、だが。
「ワンワン」
「・・・・・・・・・」
病院の者はラビが自分達を見るといつも愛想よく近付いてきて尻尾を振って身体を摺り寄せてきているのを見た。
そうしてだった、蓮田は安楽死が決定した彼を見て院長に話した。
「あれだけ酷い怪我を受けてもです」
「人間が好きだね」
「そして流動食でもです」
「食べているね」
「食べて飲んで診察もです」
これもというのだ。
「大人しく受けています、見ていると」
「うん、まだ助かるかも知れないし」
「生きようとしていますし」
「生きようとしているなら」
「はい、その限りです」
「助けるのが医師の務めだ」
「そうですね、それじゃあ」
ここで蓮田は院長に言った。
「私が引き取ります」
「治療費も君が出すのかい?」
「はい、私が世話をしていますし」
このこともあってというのだ。
「是非です」
「彼を引き取って」
「そしてです」
「育ててくれるんだね」
「治療もします、彼が生きている限りです」
まさにその限りというのだ。
「一緒にいて」
「治療もだね」
「します」
「わかった、ではね」
「すぐにその手続きに入ります」
こうしてだった、蓮田はラビを家族として迎え入れた。治療をしても流動食のままで顔の形も戻らなかったが。
それでもだ、彼は蓮田にも家族にも懐き。
散歩に行けるまでに元気になった、そして日々を過ごし。
「もう三年ですが」
「はい、あの子はですね」
「うちで元気に暮らしています」
蓮田は病院を訪れたラビを持って来たボランティアのスタッフに話した。
「そうしています」
「それは何よりですね」
「いい子です」
蓮田は彼のことを率直に話した。
「人間を愛してくれて信頼してくれて」
「必死に生きているですね」
「とてもいい子です、あんな目に遭っても」
それでもというのだ。
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