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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(8)〜タバル・ヒルの戦い(下)〜
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”を行いながら考えていた。
自分は選ばれた生まれの筈であった。コルネリアス”親征帝”により実力で選ばれた貴族の末裔だ。それなのに――
「い‥‥嫌だ!もう嫌だぁぁ!!」
目をかけていた農奴管理を任せていた家宰の三男坊が悲鳴を上げて逃げ出し――後方からわざとらしく派手な音を立てて重レーザーが”ゴルツ男爵領軍”の背後を薙いだ。
「進め、進め――いいから、進めぇ!」
引退間近の元侍従が遠征の”引退箔付”に出征するからと馳せ参じただけなのに――ゴルツ男爵は崩れかけた兵達を 咤しながらぐるぐると考え続け――胸に焼けるような痛みが走った。
「‥‥え?」
短く構え、油断なく構えていた戦斧が何故か思い通りに動かない、何故だ、と視線を向けると何かがぶら下がっている、見慣れている筈だ、それは――自身の利き腕であった。
右手を見る、薄い大気を埋めるかのように血が勢いよく噴き出していた、悲鳴を上げようとする、声の代わりにゴボリ、と塩辛い何かが口の中からこぼれ出る――彼の胸はブラスターで焼かれていた。
ゴルツ男爵領陸戦隊は緒戦の混乱による失態を恥じ、皇帝陛下への忠誠を新たに先鋒を志願し――叛徒の強固な防衛を突破するべく勇壮に玉砕した。
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「敵侵入!歩哨にあたっていた分隊は壊滅状態です!クソッ!断崖を登ってきやがった!!」
エルヴィング隊の侵入から数分後、本部ではオペレーターがようやく裏返った声を上げている。
「遂に侵入が始まったか。敵は特殊部隊だ!あわてず武装牧師隊を回せ!
ここでつぶせば大戦果だ!」
幕僚長がオペレーターの動揺を跳ね返す。
「正面より報告が――」
「閣下。前衛陣地、”二之関”より後退を開始します!!”三之関”を抜かれたら本営です!」
「旅団長閣下」
基地司令部からの派遣参謀が囁く。彼は大夏天民国軍ではなく同盟常備地上軍の将校である。彼の役目はフォルベック少将以下防衛司令部の計画と前線の現実をすり合わせることだ。
「クレーベル中佐達の後退の目途について報告が来たら我々も退いてよいかと」
”転進保証人”の傘下は大変だ、とチェン准将は呻く。
フォルベックの得意戦術は複層陣地による多層防衛、転進を繰り返し最後の最後に叩き潰す、というものだ。
畢竟、楽をできる戦というものはないがとりわけ前衛を担うのであればこの手の作戦は神経を使うものである。
「クレーベル中佐に撤退の許可を、我々もここを捨てるぞ」
チェンはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「――連中を押し返して、悠々とな。各隊――”二之関”防衛隊に伝達!”三之関”も放棄する!速やかに本陣に兵力を結集させよ!本営を前進させ護衛中隊も出す、白兵戦を覚悟せよ!」
派遣参謀と大夏天
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