始まりから夏休みまで
狂戦士との戦いの話
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う通り、お栄ちゃんの肩は人間無骨がほんの少し触れただけだけどその傷口はえげつないものだった。
血の止まらない肩。片手にはもう力をが入らないから両手で大筆を、なおかつ全力で振るうのは難しいだろう。
助けてあげたい。
でも、僕に何が出来る?
さっき咄嗟に出ようとしたけど僕が出たところで死ぬだけだ。
何か…何か出来ることは…!
「まぁ精々吠えてろ。面白ェとは思ったがてめぇは所詮、オレにぶち殺されんだからよ!!!」
見ていることしか出来ない。
お栄ちゃんは槍の攻撃を受け止め続けているものの、その表情は前と比べてかなり苦しそうだ。
受け止める度に傷に響くんだろう。それに、攻撃を受け止めている大筆だっていつまで持つか分からない。
何か…何か…!
「…。」
何かないか、
そう思いポケットに手を突っ込んだ。
そこにあったのはスマホ、そしてボールペン。
スマホで友作くん達に助けを呼ぶ?いや、きっと間に合わない。
ボールペン?いや、ボールペンで何ができるって言うんだ。
「…え?」
その時だ。
ボールペンが、淡く光った。
「どういうこと…なにこれ!?」
ペンを握ると、光る。
暖かい優しい光、そしてどこからともなく頬をくすぐったそよ風が吹く。
なんだろう…不思議と…力が湧いてくる。勇気が湧いてくる。
そうして気がつけば僕は、
「…マイ!?」
「あ、なんだ?」
茂みから飛び出し、彼らの前に立っていた。
「やめろマイ!何する気だ!!」
「死にたくなったか?少し待ってろ。こいつ始末してから一思いに殺してやっからよ!!」
いや…死なない。
僕は死なないためにこうしている。
そして…
「死ぬつもりなんてない!それに、お栄ちゃんだって殺させるもんか!!」
どこからか吹く風が僕の背中を後押しする。
動く腕、ペンを掴む指先に何かがほとばしる。
空中に向かってペンを走らせ、それは不思議なことに風となってお栄ちゃんのところへと飛んでいく。
「こいつは…一体…!?」
風はお栄ちゃんを包み、鬼武蔵の一撃を軽々と弾き、
「なんだてめぇ…!その力!」
「…!」
見るも無残なお栄ちゃんの傷口を完治させた。
「マイ…。」
「お栄…ちゃん…。」
ポールペンを、落とす。
指に力が入らない。
腕も、だらんとぶらさがりやがて身体全体に力が入らなくなり…
「勝って…。」
そこで僕は、意識を手放した。
?
「!!」
次に気がついた時は、朝だった。
飛び起きて時計を確認すると、昼の12時。
どうやら僕は…かなり眠っていたらしい。
あと、
「右手が…。」
右手の感覚がない。
腕全体が、まるでつい
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