第十七話 裏側のことその十五
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「クンクン」
「モコ嬉しそうね」
「抱き締められて愛情と温もりを感じるからでしょうね」
「だから抱き締められるの好きなのね」
「犬は賢いから」
母はこうも話した。
「抱き締められたこと覚えているわよ」
「愛情を温もりの二つを」
「だから犬を捨てる位なら」
「最初から抱き締めないことね」
「そしてそんなことする人とは付き合ったら駄目よ」
「餓鬼だから」
「どうせあんたも裏切るわよ」
自分がまずいと思った時はというのだ。
「平気でね」
「犬を捨てるみたいに」
「そして自分だけ安全な場所に逃げるから」
そうした輩共だからだというのだ。
「絶対にね」
「信じないで」
「付き合わない、いいわね」
「そうするわね」
母のその言葉に頷いた、そして。
抱き締めているモコを下した、すると。
「ワンワン」
「まだ抱っこして欲しいのかしら」
「そうみたいね」
母もこう答えた。
「甘えん坊ね」
「そうなのね、じゃあね」
「あと少しね」
「抱っこするわね、モコもそれでいいわね」
「ワンワン」
モコは咲のその言葉に尻尾を横に振って応えた、そのモコを。
咲はもう一度抱き締めた、そうしながら今日の両親との話のことも思うのだった。
第十七話 完
2021・6・1
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