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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
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つけた。
「えっ、なんで、手……」
アリアは自分の手を取り返すと、羞恥に頬を紅潮させて、その困惑を控えめに訴えてくる。彼女がそこで羞恥を覚える理由が、自分には分からなかった。何しろ文の工房は文字通りの雑多なのだ。床にはいつも部品が散らばっているし、それを踏んだ挙句に転んでしまったら大変だろう。
「転んで怪我しないようにだよ。恥ずかしがる理由が分からないけど」そう苦笑する。
「それは、その……ありがと──きゃっ!?」
「わっ」
可愛らしくはにかんではいたものの、少なからず動揺していたのか、アリアは後ろのめりに体勢を崩してしまった──その一瞬間の間に、彼女のぶんだけ預けられた体重が、一気に自分の腕に伝わってくる。どうやら、雑多な床に散乱していた部品のうちのどれかを踏んでしまったらしい。このままでは後頭部を床に打ち付けてしまうおそれが容易に想像できたから、すかさず握っていた手を引いて彼女を抱き寄せた。その華奢な身躯を裏切らず、アリアはやはり身軽だった。
「大丈夫? 腕、痛くなかった?」
綺麗に自分の両腕のなかに収まった彼女の、その身躯の華奢なことに、このまま抱きしめていたら、いつか彼女の身体が音を上げて瓦解してしまうのではないだろうか──ということを不意に思った。愛玩動物か何かのように縮こまりながら上目に自分を見ると、アリアは小さく頷く。
背中に回した腕からは、この一瞬間の吃驚に120ほどを打つ彼女の脈搏が伝わっていた。
「……そう、良かった」安堵の溜息を吐いた直後に、自分はこの状況を俯瞰するともなくする。
それを把握しきった時には、既にもう遅かった。自分たちの話し声に気が付いたらしく、様子を見に来てくれた文と視線が合ってしまう。恥ずかしいのか間が悪そうに手で顔を覆ったものの、それでも怖いもの見たさと言おうか、そんな雰囲気で彼女は指の隙間から自分たちを覗いた。
抱きしめていたアリアから腕を解いたのちに、即座に勘違いだけは避けてもらうべく説明する。
「あの、勘違いしないでね……? アリアが転んじゃったから支えただけで、自分から下心があって抱きしめたとか、そういうことではないから。するとしても、こういう場所ではしない」
本当にそれだけの理由で、それ以上でも以下でもないのだ。下手な勘違いがいちばん怖い。自分は冗談こそ言えどもこうした場面で嘘は言わないし、何しろ1年近くを過ごした友人なら、こうした性格をある程度は首肯してくれるだろう──という生易しい観念が無いでもなかった。
けれども文は、そんな自分の自信とは正反対を進んでいるように思えてしまっている。羞恥のなかに呆然の入り混じった、何やら生温く粘っこいような視線でこちらを凝視するべくしていた。
「……ごめ
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