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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
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っていたらしい綴は、そうしたアリアの質問に耳を傾けた。短くなった葉巻のフィルターあたりまでを一気に吸うと、溜めた煙をそのまま吐き出す。そうして灰皿に筒先を押し付けるようにして鎮火させながら、「あー……?」といつもの声色で返事をした。


「神崎、お前……ごっこ遊びで馬鹿にでもなったかぁー? 実績がある優秀な生徒を、アタシら教務科が見捨てるわけねぇだろうが。星伽だってそうだ。お前たち2人が自己評価をどう付けているのかは知らねぇけど、少なくともSランクだって自覚は持て。校長が推薦してくれる生徒なんて、たかが知れてるんだからさぁ、この意味が分からないほど馬鹿じゃないだろ? えぇ?」


口調こそ説教に近いものの、その裡面には自分たちへの一定の評価と信頼があった。能力を買ってSランクにしたのだから、Sランク武偵としての自覚を持て──そうして、その肩書きに恥じない活躍を求められている。武偵校の最高権力者である校長にも、認められるくらいには。
Sランク武偵などは、いわゆる武偵校の華なのだ。その花弁が茎ごと萎えて、地面の泥に塗れてしまうようでは意味が無い。綴が暗に伝えたかったことは、恐らくこのことなのだろうと思う。


「ふぅん……、随分と期待してくれてるのね」


アリアは後ろ手を組んで、そう呟いた。それから眦の上がった目で自分の方を一瞥すると、「じゃあ、せめて期待に応えられるようにはしようかしら」と、満更でもなさそうに笑みを零す。
綴も小さく頷いてから、「その饒舌な口だけじゃなくて結果で示せ」と軽口の応酬に火種を付けた。「そんなことは分かってるわ。出来ないことを出来ると宣言するほど馬鹿じゃないもの」
「……お前は本当に生意気な女だよなぁー。少しでも成績下げたら根性焼き入れてやるよ」


新たに取り出した葉巻に火を付けながら、綴は冗談とも聞こえない口調で口元を歪ませた。


「ま、それが嫌なら頑張れってこった。……もうアタシからは何も言うことねぇし、蘭も書類を探すのに手間取ってるみてぇだし、昼休みも半分過ぎたから戻りたきゃ戻っていいぞぉー」


その言葉が本心なのか、話をするのが面倒になったのか、はたまた両方なのか──彼女のことだから可能性は全て否めないが、兎にも角にも、こうして認可が下りたのは有難いことだろう。
背もたれに寄りかかりながら「遅っせぇなぁー……」と悪態を吐く綴を横目にして、自分はアリアに視線を遣った。彼女が頷いたのを確認してから、「それでは──」と幸便に切り出す。


「お騒がせしました。アドシアードの件に関しては、どうぞ宜しくお願い申し上げます。取り敢えずは星伽白雪の護衛を行っていく所存ですので、その旨をご承知ください。失礼致します」


アリアと合わせてお辞儀をしてから、「あー、
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