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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
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房の壁に掛かっている時計に視線を遣ると、もう昼休みは終わりかけていた。5時間目に自分とアリアは専門科目に出る予定は無いから、ここは文のスケジュールを優先すべきだろう。
「……それじゃあ、自分たちは、この辺りでそろそろ失礼しようかな。昼休みも終わっちゃうしね」そう言いながら、アリアを控えて立ち上がる。文はそれに頷くと、「あややも研究があるから、ここはお互い様ってことで!」と、満面の笑みを浮かばせながら、快活に背いてくれた。
受け取った《緋想》を背に隠匿してから、「またね」と、アリアと揃って文に手を振る。彼女も可愛らしい手つきで振り返してくれた。それを見届けてから、工房の入口となる扉まで慎重に歩いていった。何度も来ても未だに、部品が散乱しているこの周辺だけは慣れることができない。安堵の溜息を吐くことができたのは、工房を抜けた、装備科棟の廊下に行き着いた時だった。
「……平賀さん、あの部品とかは片付けないのかな」
「天才は往々にして変わり者だからねぇ……。むしろ片付けちゃったせいで、何が何処にあるのか、それが分からなくなっちゃったりするかもしれない。まぁ、憶測だけどね。ふふっ」
「まぁ、平賀さんなら、有り得ない話じゃないかも」
そんな他愛のない話だけをしながら、いつものように帰路につく。2人で歩幅を合わせているのが、いつから意識していたのか、或いは無意識に合わせていたのか、それは分からない。けれど、1人だけが先に進むのも、或いは遅れをとるのも、それはそれで良い気分はしないのだ。それならば、いっそ、このまま──同じくらいの歩調で進んで行ける方が、幸せなのだろう。
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