第十七話 冬の入り口その六
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「枕草子と一緒になってて」
「ああ、頭の中で」
「中間テストは枕草子だったから余計になの」
「ああ、同じ時代の作品だしね」
「枕草子と源氏物語ってよく一緒に言われるよね」
「そうそう、どうしてもね」
「枕草子の作者も」
千春はこうしたことから話していく。
「確か清少納言で」
「それも合ってるよ」
「何でなのかしら」
困った顔になってだ。千春は首も捻った。
「凄く覚えにくいのよ」
「それじゃあね。ここはね」
「ここは?」
「頭の中で。ノートに分けて書いたらね」
そうすればどうかというのだ。
「そうすればいいんじゃないかな」
「分けるの?」
「そう源氏物語は源氏物語で分けて書いて」
「それで枕草子は枕草子で」
「書けばわかりやすいしね」
別々の作品である、そのこともだというのだ。
「区分したらね」
「じゃあ書いてみるね」
「そうして。とにかく源氏物語と枕草子はね」
「作者も違えば」
「そう、文体も作品の形式も全然違うから」
本当にだ。何もかもが違うとだ。希望は千春に話す。
「源氏物語は小説でね。枕草子は随筆でね」
「あっ、それはわかるよ」
「そう。全然違うものなんだ」
「そうして考えていけばいいんだ」
「そうだよ。完全に同じ時代で活躍もしてないし」
「あれっ、千春聞いたけれど」
口元に手を当てて考える顔になってだ。千春は希望に述べた。
「あの二人って同じ時代じゃなかったの?」
「違うらしいんだ。清少納言が宮中から去ってから紫式部が入ったんだ」
「そうだったの」
「うん、実はね」
「千春それは知らなかった」
「僕も最近知ったんだ。実はそうだったんだって」
「ふうん、今覚えたから」
千春は希望のその言葉に頷いた。そしてこうも言った。
「後は。平家物語とも違うよね」
「あれは軍記ものだからね」
「そうだよね。源氏と平家でもね」
「歴史の源氏と平家とはまた違うよ」
完全に別物だった。日本史と古典では。
「それはわかるかな」
「うん、それはね」
「じゃあ源氏物語の文章だけれど」
「凄く。難しいから」
紫式部の文章は独特かつ難解なことでも知られている。現代語訳は多くの著名な詩人や文豪がしているが誰も悪戦苦闘して果たしている。
英文での方が原文よりも読みやすいとさえ言われている。そこまで難しい文章なのだ。
その難しさ故にだ。千春も眉を曇らせて言うのだった。
「何処がどうなのか」
「わからないんだ」
「どうしたらいいの?」
困った顔でだ。さらに言う千春だった。
「何処をどうやれば」
「源氏物語の文章はね」
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