第一章
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黒猫マーケット
玉岡茜はこの時従姉の薊と共にこの日は街の公園で開かれているフリーマーケットに参加していた。二人共陶芸が趣味で自分達で作った陶芸品を出していたが。
薊、茶色のはねた短い感じの髪の毛で明るい顔立ちの彼女は黒髪を頭の上で団子にして眼鏡をかけていてややきつい顔立ちの従姉に言った、二人共背は一五九位ですらりとしている。
「思ったより売れないわね」
「そうね」
薊は憮然として自分と同じ表情になっている従妹に応えた。
「今回は」
「どれも結構自信作なのに」
「しかも安くしてね」
「場所も悪くないのに」
「それでお客さんも多いのに」
好条件が揃っているがというのだ。
「それでもね」
「売れないわね」
「あれね、売れない時はね」
薊はこでこんなことを言った。
「もう何をしてもね」
「売れないっていうのね」
「それでよ」
こう言うのだった。
「今日はね」
「売れないのね」
「こんな時もあるわ、こうなったら」
薊は従姉に話した。
「今度ネットの通販でね」
「売るのね」
「そうしましょう」
こう提案するのだった。
「そうしましょう」
「そうする?今日は諦めて」
「それに陶器は腐らないでしょ」
「もたせようと思ったら幾らでももつわね」
「割れるけれど」
それでもというのだ。
「もつでしょ、だからね」
「今日は諦めて」
「のんびりといきましょう」
「こんな日もあるってことね」
「そういうことでね」
薊はきつい顔立ちとは裏腹に穏やかな声で言った、そしてだった。
二人はそのままそこにいたが昼になるまで然程売れなかった、だが二人が昼食の弁当を食べ終えた時に。
ふとだ、二人の場所にだった。
「ニャア〜〜」
「猫?」
「そうね」
茜も薊も二人の傍に来た猫を見て言った、見ればその猫は。
見事な毛並みの黒猫だった、目は金色である。よく見れば雄で。
「首輪してないわね」
「野良猫みたいね」
「その猫野良猫だぜ」
丁度店の前に来ていた高校生と思われる位の赤がかった茶髪の威勢のいい感じの少年が言ってきた。
「耳にカットあるだろ」
「ああ、さくら猫」
「そうなのね」
「地域猫だけれどな」
それでもとだ、彼はさらに話した。
「飼い主はいないんだよ」
「そうなのね」
「そうした猫なのね」
「人懐っこくてい奴だぜ」
猫の性格のことも話した。
「だから別に悪さしないからな」
「じゃあここにいてもらっていいわね」
「そうね」
二人は少年の言葉を聞いて頷いた、少年は話を終えるとすぐに別の店の方に行ったがその後でだった。
黒猫は二人の店に居ついた、ただ座って寝ているだけだが。
猫を見てだ、人は店の前
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