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DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜
監督の悩み
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いていた彼からすると、どうしても違和感がある。
(真面目なのはいいことだし、こっちからしても扱いやすいから楽ではある……ただ、不測の事態が起きた時、テンパってしまうのもまた事実……)
グランドコンディションや審判による判定……常に完璧な条件が揃うことは数少ないスポーツの世界……纏まりがあるチームほど、それが崩れた時の建て直しが難しい。
(まぁ、気にするだけ無駄か……もう夏まで時間もないし、ここから下手に弄るのは気が引ける)
今ここでそんなことを言っても、戸惑う選手が大半だろう。それがわかっていた彼は、無難な試合の総評を話し終えると、最後に一言付け加える。
「ここから夏までの三ヶ月、お前ら上級生が主役なんだからな。しっかりやれよ」
「「「「「はい!!」」」」」
「よし!!じゃあ荷物まとめて今日は帰宅!!」
新しく加入した一年生。彼女たちがいるときには言えないような言葉。これで少しでも選手たちの気持ちが高ぶってくれれば、チームにとって大きなメリットとなる。
「次の試合って来週?」
「そうだね。次は3回戦と準々決勝だから土日どっちも試合だよ」
「じゃあ東英の試合見れるじゃん!!楽しみ!!」
「よ……よかったな」
礼を終え、荷物の整理を行っている選手たちは真田の狙い通り気合いが入った様子。彼は先にロッカールームから出ると、大きなタメ息をついた。
(あんなこと言ったけど……本当は一年生も合わせて戦いたいよなぁ……)
即戦力……が理想ではあるが、一年生にそこまで求めるのは酷なものがある。そもそも推薦枠を学校側が用意してくれない時点で、得られる戦力が限られているのは言うまでもないのだ。
「あ〜あ……なんかすげぇ奴入ってくれねぇかなぁ……」
さっきの言葉の後なので、彼女たちに聞かれたら間違いなく袋叩きにされてしまうだろう本音。しかし、それが言いたくなるくらいチーム力が弱いのは確かだ。
(東英には今年もいい一年が入ってるだろうし、やっぱり苦しい戦いになりそうだ。せめてうちの弱点だけでも補強できれば万が一があるかもしれないが……)
厳しい顔つきになりながら本部席へと向かう真田。彼の頭の中には今後のチームのたどり着くべき道筋が見えずにいるようだった。
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