悪者の王国
ありえない依頼書
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今思い出しただけでも怒りが沸き上がってくる。身勝手なあいつらにも、なす統べなくやられた自分にも。
「落ち着け、シリル」
今にでも動き出しそうなほどに気持ちが昂っていたタイミングでポンっと頭を叩かれる。隣にいたのは、いつの間に来たのだろうか、ラクサスさんだった。
「敵の情報もわかってねぇ上に居場所も把握できてねぇ。そんな状況で闇雲に突っ込んでも意味ねぇだろ」
「ラクサスさん」
そう言われると、まさしくその通りである。今のまま行ったら間違いなく先程と同じ未来を辿ってしまう。そうなっては本末転倒ってものだろう。
「って、さっきカミューニに言われてたわよね、ラクサスも」
「それは言わなくていいだろ!!」
すごいどや顔で俺に注意していたラクサスさんだったけど、どうやらカミューニさんからの受け売りだったらしい。そんなこと言って、あの人もあの国に向かっているって言うんだから、結局誰もいうこと聞いてないじゃんと思ってしまったのは内緒です。
「あ、そうそう。シリルとウェンディにカミューニから伝言をもらったわ」
「え?私にもですか?」
俺はともかく、ウェンディにまでカミューニさんからの伝言とは一体何なのだろう。
「うん。シリルが起きて大丈夫そうだったら、評議院に来てくれって。二人にお願いしたい依頼があるみたい」
「はぁ!?何考えてんのあいつ!!」
「シリルは起きたばっかりなのに〜!!」
カミューニさんからの伝言を聞いて顔を真っ赤にして怒り狂ってるエクシードコンビ。二人の意見は最も・・・でも・・・
「ウェンディ、行こ」
「大丈夫なの?シリル」
心配そうな表情のウェンディ。シャルルたちも同じような反応をしているけど・・・
「なんか・・・じっとしてられないんだよね」
今はとにかくこの悔しさを何とかしたい。十分な力を付けたと思っていたはずなのに、それをあっさりと打ち破ってきた強敵を前にして、何もしないでいるなんてできるはずがない。
「シリルが大丈夫なら私も行くよ」
「あぁ!!わかったわよ!!」
「どうなっても知らないからね〜!!」
快く承諾してくれるウェンディと渋々といった様子のシャルルとセシリー。結局、いつものメンツで依頼の内容を聞きに行くことになった。
「そうそう、シリル」
「なんですか?」
出発のための準備に向かおうとしたところ、ミラさんに呼び止められる。何かと思って振り返ると、彼女はいつも通りの笑顔でこういった。
「シリルならじっとしてられないって依頼引き受けてくれると思うってところまで、カミューニ言ってたわよ」
「うわ!!それはそれでムカつく!!」
なんだか自分の心を見透かされていたようで非常に腹が立つ。最も、それで依頼を断るなんてこ
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