悪者の王国
ありえない依頼書
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シリルside
「んん・・・」
なんだか妙に眩しさを感じてゆっくりと目を開く。少しずつ光に慣れてきた目が最初に捉えたのは、どこかで見たことがあるような天井・・・
「シリル!!起きた!!」
「よかった〜・・・」
頭を必死に働かせようとしていると、いきなり飛び付いてくる少女に再びベッドに押し付けられる。その少女の顔は、涙でグチャグチャになっていた。
「どうしたの?ウェンディ」
「あんたがずっと起きないから付きっきりで看病してたのよ」
「もう三日は寝てたよ〜」
シャルルとセシリーの言葉に驚いた俺は窓の方へと目をやる。そこから見える景色といい、この天井といい、俺はいつの間にか妖精の尻尾に帰ってきていたみたいだ。
「え!?じゃあ依頼は!?」
俺やナツさんたちまで倒されてしまったあの依頼。ウェンディ一人の状況で解決したのかと思ったが、彼女は首を小さく振る。
「依頼は失敗したの。私は皆さんを連れて帰ってきただけ・・・」
「ウソ・・・」
クエスト失敗・・・それは俺たちにとって初めての経験で、到底受け入れることなどできないものだった。
「今カミューニが現状調査のためにあの国に行ってるみたいよ」
「一人であいつらを倒しに行ったの?」
カミューニさんの実力はよくわかっている。しかし、とても彼一人で何とかできる相手だとは思えない。
「誰か連れていくって言ってたみたいよ」
すると、お盆に飲み物を乗せたミラさんが部屋に入りながらそう答えてくれた。
「よかったわね、ウェンディ。シリルが起きて」
「はい!!本当によかったです!!」
ずっと看病してくれていたウェンディに飲み物を持ってきてくれたタイミングで俺が起きたらしい。ミラさんは彼女に飲み物を渡すと、こちらに目を向ける。
「本当・・・シリルだけでも起きてくれた安心したわ」
「え・・・」
俺だけ?その言葉が何を意味するのか察した俺は、寝起きとは思えない勢いでベッドから飛び起きると、隣のベッドの前に立つ。
「そんな・・・」
あれから三日経ったという話だった・・・それなのに、エルザさんとナツさん、グレイさんとルーシィさんはみんな目を閉じたままでいる。
「私たちはルーシィたちの下敷きになって気を失ってたからすぐに意識が戻ったけど・・・」
「あいつらにやられたみんなは全然起きないんだよ〜」
「あい・・・」
ナツさんにへばり付いているハッピーの目は赤く腫れている。皆さん、息はあるけど、とても目が覚めるような様子には見えない。
「あいつらはあの国にいるんだよね?」
「ううん。どこかに行くって言ってた」
「でも、あの国はいまだに異常気象に覆われたままらしいわよ」
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