第三百二十五話 総帥さんのお言葉その十二
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「楽しみにしておいてね」
「それじゃあね」
「つきたてのお餅は美味しいよ」
実は僕もこれが楽しみだ、親父も食べればいいのにと思ったけれど今頃京都でお袋と美味しいものを食べているからいいかと思った。
「だからね」
「楽しみにしていいのね」
「うん」
こう香織さんに話した。
「本当に凄く美味しいから」
「それじゃあね」
「身体も動かしたし」
お餅つきに後片付けにだ、横では畑中さんがいつも通り抜群の動きを見せている。
「最高だよ」
「身体動かしたら食べても美味しいわね」
「だからね、楽しみにしておいてね」
こう言って僕も後片づけを頑張った、その後で。
実際にお餅を食べた、すると。
香織さんは善哉、お餅を中に入れたそれを食べて目を丸くして言った。
「こんな美味しい善哉ってね」
「なかった?」
「はじめて食べたわ」
「だからつきたてだから」
そうしたお餅だからだ。
「別格なんだ」
「そうなのね」
「香織さんつきたてのお餅ははじめてかな」
「多分ね、お餅は好きでよく食べるけれど」
それでもとだ、香織さんは善哉を食べながら答えてくれた。
「けれどね」
「それでもだね」
「確かにつきたてのお餅はね」
「食べたことがなかったんだ」
「多分ね、それでこんなに美味しいなんて」
それがというのだ。
「思わなかったわ」
「そうなんだね」
「普通のお餅も美味しいのに」
「つきたては色々違うよね」
「味もいいし弾力もね」
「違うから」
「美味しいわ、あときなこ餅もあるわね」
「そっちも美味しいよ」
こう香織さんに言った。
「やっぱりつきたてだから」
「そうなのね」
「ただ、焦らないでね」
「ゆっくり食べないとね、お餅は」
「本当に喉つまらせるから」
お餅はこれが怖い、総帥さんもお餅を食べられる時は慎重に食べてかつ飲みものも忘れておられない。
「気をつけてね」
「それ怖いわよね」
「そう、死ぬから」
毎年お正月になるとお年寄りがそうなっている。
「危ないからね」
「そうよね」
「幾ら美味しくても」
「ゆっくり食べることね」
「若くてもね」
「それでお餅外国じゃ言われてるわね」
あくまで日本のお餅だ、中国ではお餅といってもこうしたお餅以外にも麦を練って焼いたものがあるのでどっちかとなる。
「怖い食べものだって」
「毎年それで人が死ぬってね」
「事実そうだし」
「だからね」
本当にそのせいでだ。
「気をつけて食べて」
「楽しむことね」
「それが大事だよ」
「そうよね、お餅もね」
「危ないからね」
「滅茶苦茶美味しいけれど」
このことは紛れもない事実だけれどだ。
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