暁 〜小説投稿サイト〜
イベリス
第十七話 裏側のことその七

[8]前話 [2]次話
「仏様でもないとね」
「救われないの」
「そうかも知れないわ」
「だから餓鬼にはならないことね」
「絶対にね、だから気をつけてね」
「そうするわ、餓鬼にならない為には」
 どうすべきかともだ、咲は考えた。
「どうすればいいかしら」
「毎日真面目に生きて勉強して働いて」
 そうしてとだ、母は咲に話した。
「人を見て思いやりや優しさをね」
「持つことなの」
「それで人や本や世の中を見て学ぶ」
「そうすればいいの」
「そうすればね」
「餓鬼にならないのね」
「普通はね。流石に餓鬼にまでなるのはかえって難しいわ」
 そこまで堕落することはというのだ。
「普通に生きていれば」
「そこまでならないの」
「人は生きていれば経験積んで反省もして学んでもいくから」
「そこで自分を磨いていって」
「そこまで堕ちることはね」 
 流石にというのだ。
「ないわ」
「そうそうなのね」
「ならないものよ」
「そうなのね」
「ヤクザ屋さんみたいなものだから」
 そのレベルだというのだ。
「流石にそうはね」
「ならないのね」
「底を割った」
 そうしたというのだ。
「堕ち方だから」
「そうはならないのね」
「ええ、けれどなるから」
 そうはなるからというのだ。
「気をつけることはね」
「気をつけないといけないのね」
「そうよ」
 絶対にというのだ。
「いいわね」
「わかったわ」
 咲も頷いた、そして。
 咲はモコを見てそれでこうも言った。
「しかしね」
「しかし?」
「いえ、モコも若しも」
 モコを見つつ考えながら話した。
「そうした風になっていたかも知れないのね」
「繁殖犬とかよね」
「それで売れ残って」
 そうなってというのだ。
「とんでもないところに送られたり」
「捨てられたりもよね」
「なっていたかも知れないのね」
「そうよ、若しもね」
 それこそとだ、母は話した。
「そうなることはね」
「あるのね」
「そうよ、人だってね」
 犬に限らずというのだ。
「一歩間違えたらね」
「そうなるのね」
「そうよ、本当にね」
「そう思うと怖いわね」
「それも世の中なんだ」
 また父が言ってきた。
「一歩間違えたらな」
「不幸になったりするのね」
「そうだ、本当にちょっとした違いでな」
 それでというのだ。
「不幸になったりもするんだ」
「それが世の中ってことね」
「そこも怖いんだ」
 娘に真顔で話した。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ