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ドリトル先生と幸せになる犬
第三幕その九
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「来てくれなくて。ずっと待っていたのに」
「暗くて寒い場所で」
「そこにいる人達がいらなくなった犬や猫が送られる場所がこの保健所だって聞いたわ」
「そこでもう君は自分がいらないって思ったね」
「いい娘にしていたらきっとママとパパが迎えに来てくれると思っていたのに」
 それでもというのです。
「ママもパパも来ないから」
「いらないとだね」
「自分で思って。待っている私が馬鹿みたいって思って」
 そうしてというのです。
「何日もいてもう悲しくて苦しくて辛くて」
「立っていることもだね」
「出来なくなって瞼が重くなって」
「寝たんだね」
「それでお散歩に行って」
 そうしてというのです。
「ママとパパとね」
「夢を見たのかな」
「ええ、それでね」
 そうしてというのです。
「また噴水に入ったら怒られるかなとか今度はママを困らせないから御免なさいってね」
「そうしたことをだね」
「考えて寝て夢の中でママに呼ばれて野原でママ大好きって思って駆けていって」
 ママのところにというのです。
「ママに抱っこされる夢を見たの」
「そしてそこでだね」
「目が覚めたら」 
 その時はというのです。
「今のパパとママ、お兄ちゃんにね」
「迎えられていたんだね」
「そうだったの。私ママとパパを困らせて」
 項垂れて泣いて、そうして言うのでした。
「いいお姉ちゃんになれなかったいらない娘なのね」
「君は自分でそう思ってるのね」
「ええ。だからこのお家からも」
「そう思っていて」
「今も不安で怖いの」
「そうだね。はっきり言うよ」
 先生はふわりのお話をここまで聞いてでした。
 一呼吸置いてです、そうしてからふわりに言いました。
「君はいらない娘じゃないよ」
「そうなの?」
「そう、全くね」
「そうかしら」
「少なくともこの家の人達はそう思ってるよ」
「今のパパとママは」
「お兄さんもね」
 家族皆がというのです。
「そう思ってるよ、だからもう君はいらないと言われることはね」
「ないの」
「そうだよ、そして君に困らせられるともね」
 そうしたこともというのです。
「一切ね」
「ないの」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「全然ね」
「そうなのね」
「そしてね」
 先生はふわりにさらにお話しました。
「君は全く悪くなかったよ」
「前のママとパパを困らせてなかったの」
「君の話は全部聞いたよ、そしてね」
「そして?」
「君は嘘を吐いていない、全部ね」
 まさにというのです。
「真実をね」
「言ってたの」
「嘘を言うのは人間だけだよ」
 先生はふわりにこのことも言いました。
「一切ね」
「私嘘は言ってないわ」
「それはわかるよ。君は全部ね」

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