暁 〜小説投稿サイト〜
ユア・ブラッド・マイン 〜空と結晶と緋色の鎖〜
第10話『聖骸物』
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 冥質界情報体(カセドラル・ビーイング)
 燕によりもたらされたこの山に潜む驚異の正体に、輝橋たちが息を?む。 そんな中で、玲人は一人別の理由で困惑していた。

「(冥質界情報体……なんだ……どこかで……?)」

 違和感。 いや、既視感とでもいうべきか。 初めて聞く単語であるはずなのに、何度も聞いたことのあるような奇妙な感覚が玲人に訪れていた。
 一体どこで聞いたのか、玲人が一人考えている間にも、燕の話は続いていく。

「当然、そのような存在が何もない所から自然に湧いて出ることは滅多にない。 あるとしたら、未確認の《聖骸物(レリック)》がある場合だが……」
「次から次に知らない単語……授業受けてる気分になってきた」
「こら、茶化さない」

 ぼやく輝橋に武蔵野が注意を入れる。
 《聖骸物》。 確か、それは……

「《聖骸物》というのはだな……」
「……物質界で果てた冥質界情報体の亡骸。 周囲を冥質界に似た環境に変え、新たな冥質界情報体を呼び寄せるビーコン」

 燕の言葉を引継ぎ、すらすらと言葉が出てくる。 そう、そこにあるだけで冥質界情報体を呼ぶ可能性のある厄介物が聖骸物だ。 しかし、この知識を、いったいどこで手に入れた……?

「あぁ、その通りだ。 一般には開示されていないはずだが……まあいい。 つまり、冥質界情報体が関与している以上、この山のどこかに聖骸物がある可能性が高いということだ」

 玲人の様子に思うところもあったようだが、その疑問はいったん横に置いて話が進められる。 燕が言うには、聖骸物はそのほとんどが国によって監視されているそうだが、地域によってはあまりにも数が多く、把握しきれていない場合もあるらしい。 ここ、北海道もかなり昔にあった情報体による激しい戦闘の名残で、未発見の聖骸物は比較的多いらしい。

「私と輝橋……つまり、国家製鉄師には聖骸物の調査と報告の義務がある。 そこで、この後の行動について提案したい」

 そこで燕は言葉を区切ると、確認するようにぐるりと見回す。 誰からともなく、全員がうなずいたのを確認すると、燕はその提案を口にした。

「まず、学園に応援を要請する。 その後明日の朝、日が十分に昇ってから私と宇宙、輝橋と如月の4人で山の探索を行い聖骸物の有無を調査する。 玲人、立石、天野の三人は長谷川さんと立奈を護衛しつつ下山、安全を確保して学園からの応援との連絡係を頼む」
「情報体と製鉄師についてはどうします?」
「それもこちらで請け負うべきだろう。 昼間なら輝橋の鉄脈術も本領を発揮できるからな。 輝橋は空から捜索し、玲人たちの方に出たら急行できるようにしておいてくれ」
「あ〜い。 立石、信号弾かなんか作っといて。 あげてくれたら行くわ」
「わかりました」

[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ