第10話『聖骸物』
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「他には何かあるか?」
流石、というべきだろうか。 国家製鉄師なだけあって緊急事態への対応が早い。 素人の玲人が口を挟む必要はないだろう。
他に何かと聞かれ、玲人は記憶を掘り起こす。 情報体も製鉄師も、直接対峙したのは玲人だけだ。 玲人にだけ分かることがあるかもしれない。
確か、製鉄師の男は情報体を見て「遂に見つけた」と言っていた。 ならば、男の目的は情報体そのものか、あるいは……聖骸物か。
……何か見落としている気がする。 聖骸物に関して、何か重要なことを。
「燕さん、聖骸物についてもう少し詳しく聞いていいですか?」
「ん? 詳しく、と言っても殆どさっき玲人が言った通りだぞ? 強いて加えるなら多くの聖骸物はモノリスと呼ばれる霊的装置で監視されているくらい……」
「ッ!それだ!!」
燕の言葉に膝を叩く。 感じていた違和感、足りない気がしていたもの。
「これ、見てください」
そういって、カバンに入れていたデジカメから1枚の写真を皆に見せる。 それは、昼間見かけた影を追ったとき、見失った場所で見た石碑の写真だ。 変わった石碑だったから、後で立石にでも見てもらおうと思っていたのが、色々あってすっかり忘れていた。
「この写真が何か?」
「立石、この石に書かれてる文字読めるか?」
「えっと……楔、ですかね?」
立石に確認もとれた。 おそらくこの考えは間違いではないだろうと玲人は確信する。
「これがそのモノリスなんじゃないですか?」
「……楔石か。 かなり昔にモノリスとして使用されていたという話がある」
「じゃあほぼ確ってことか?」
輝橋の質問に燕は首を振る。 確かにモノリスとして使われた過去はあるが、それ以外にも地鎮などの理由で設置された関係ない石碑も多数存在するらしい。
だが何の手がかりもない今、放置するという考えは誰からも出なかった。
「石碑の場所はわかるか?」
「さっき行ったばっかなんで。 地図で指せって言われたら微妙ですけど、案内なら」
「……わかった。 先ほどのメンバーを変更する」
玲人の出した情報により作戦に変更が加えられる。 玲人は下山組から燕たちとともに探索組へ、逆に探索組だった輝橋は空から索敵しつつ何かあった時のために待機となった。
「いいか? 探索班に組み込まれたとはいえお前は一般人なんだからな? 私の指示に従いくれぐれも危険な真似は……」
「あーもう!わかりましたって!」
石碑の場所が分かるのが玲人だけとはいえ、燕の本心では玲人が危険な目に遭う可能性があるのは見過ごせないのだろう。 しかも、今日に限っては前科まである。
既に話し合いは終わり、各々明日に備えて体を休めている所だというのに、燕がこの調子ではなかなか休めそ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ