暁 〜小説投稿サイト〜
DOREAM BASEBALL 〜夢見る乙女の物語〜 
先輩たちの実力
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場中の人たちはみんな彼女のある一点に視線がいっていると思う。

「何食べたらあんなになるんだろ……」
「羨ましい……」

左打席に入り大きく伸びた瞬間、より際立つ大きな胸。間違いなくチームで一番大きいであろうそれに、私たちはなんだかタメ息が出てしまった。

「そ……そこは気にしなくていいから……」
「そうなんだけどさ……」

構えに入ってからもやっぱり気になってしまう。太っているわけでもないし、顔もどちらかというと子供っぽい。それなのにあれだけのものを持っているのは……

「あれ?」

なんて思っていると、構えた彼女の姿に首を傾げる。どこかで見たことがあるような構えだけど、どこで見たんだろう……

「なんか見たことあるよね?」
「やっぱり?」

他のみんなも同じことを思ったらしく、ザワザワをしてしまう。さらには相手も先ほどまでよりも真剣な表情になっており、明らかに警戒しているのがわかる。

一塁ランナーを気にしながらの投球。その手から放たれたボールは高めに外れる明らかなボール球。しかし……

スカッ

何を思ったのか、葉月さんはその球を思い切り空振りしていた。

「ありゃ」

空振りしたすぐ後にベンチに目をやる葉月さん。きっと監督はすごい顔で彼女のことを見ているんだろうなぁ……

「打ちたい気持ちが出すぎてたね……」
「マイペースな人だからなぁ……」

この試合に出ている二年生は三人。元気印の優愛ちゃん先輩とキチッとした性格の明里さん。そしてどこかおっとりしている葉月さんなんだけど、これだけで明里さんや三年生たちが苦労してそうなのがよくわかる。

果たして大丈夫なのかと見ていると、今度は内角にかなり厳しめのストレートが投じられる。ただでさえも打ちにくいコースな上に、指にかかったいいボールを投げ込んでくる。

カキーンッ

それに手を出した葉月さんだったが、腕を綺麗に畳んでジャストミート。セカンドがジャンプするがわずかに届かず……

ガシャンッ

そのまま伸びた打球は、右中間のフェンス上段に直撃した。

「うぇ!?」
「すごい打球!?」

夏の高校野球でもなかなかお目にかかれないほどの鋭い打球。抜けたのを確認してからスタートした一塁ランナーの明里さんが快足を飛ばしてホームへ滑り込み、葉月さんは悠々と二塁へ到達していた。

「すごい打球だね!!」
「そうだけど……」
「今のスイングもどこかで見たことあるような……」

すごすぎる打球に一人で興奮してたけど、みんなはそれとは違うところに意識がいっているみたい。私だけ蚊帳の外になっていると、二人が解説してくれた。

「葉月さんはプロ野球で活躍してる東信平(アズマシンペイ)さんの妹だよ」
「「「「
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