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IS-H-01
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ら出て行った


「何なのだこの状況は…」

1人になった事で先ほどとは違い少しは考える余裕が出てきたところで、俺はもう一度今の
 状況を再確認するために思考に入った

「俺は、確かあの場所で――」

そう、俺が憶えているのは確かにあの戦場にいた事
あの戦場で最後に見た無人兵器により体を貫かれそうになった事

「それだけのはずだ」

だが、そこまで考えて先ほどの女を姉といった事、姉と思っている事に疑問が湧き
更に深く思考に潜っていく

と、

「何だこの記憶は」

俺の名前は織斑(おりむら) 一夏(いちか)、先ほどの人は織斑(おりむら) 千冬(ちふゆ)
俺の唯一無二の姉である――
今まで姉と過ごしてきた日常、姉と共に笑いながら過ごしてきた日常、
 今の世界にあるはずのない平和な日常――

「何なんだこの記憶は…」

俺は織斑 一夏
違う、俺は――のはずだ
だが、俺は確かに織斑 一夏でもあるはずなんだ


他に何か情報は無いか調べてみると、テレビと思われるものが目に入った

「これなら、何らかの情報が手に入るはずだ――」

――本日のニュースは――

「なんだこれは」


――今日の天気は――
――えー、今日は――にやってまいりました――
――私は、――に向けて精一杯努力していきたいと思います――


「何なんだ一体…、これは、私がおかしくなったという事なのか」


――えー、次は――


「ハハッ――」

――笑える
俺の記憶に確かに有るはずの世界との違い
その俺と今の俺との違い

「認めるしかないのか」

何がどうなってこの状態になったのかは知らんがこの体の持ち主から精神を乗っ取ったのか
あるいは、魂とやらが存在して前世の記憶とやらでも思い出したか――

「どうでもいい」

そう、そんな事はどうでもいい
今、俺は確かにこの世界に存在する
この記憶と、この思いが偽物であるとは思えない
この気持ちを知った今、あの頃のように生きなくても良い――そう思えた

「この世界で生きていこう
 この記憶が俺の物であるのなら、どちらの記憶も忘れずに
 今度こそ、俺は俺として生きていこう」

この状態にした誰かがいるのなら俺は感謝しよう――
新たな兵器としてではなく
俺として生きられる世界を与えてくれたのだから

「さあ、これから何をしようか」

考えがまとまったら気持ちがすっきりした
顔にも自然と笑みが浮かんでくる

俺は、笑みを浮かべたままこれからの事を考える思考に耽っていった
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