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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第93話:剣を手折る槍
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――!?」
「まただ……何だあの動き――?」

 グレムリンの動きをつぶさに観察していたクリスだが、今し方の攻防は理解できなかった。あの瞬間確かに翼の攻撃はグレムリンを捉えていた筈なのに、翼の攻撃が当たると思った瞬間グレムリンが足を前に踏み出す動きをしておきながら後ろに下がったのだ。まるでよく滑る氷の上で腰を引っ張られた様に、足を前に踏み出す動きをしながら後ろに下がったのにである。

「一撃が回避されるなら、これなら!!」
[逆羅刹]

 翼は甲板に手をつき、逆立ちした状態で両脚のブレードで相手を切り裂く逆羅刹を放った。独楽のように回転して相手を切り裂く必殺技だ。例え一度回避しようと、連続で襲い掛かる刃を前に出る動きをしながら回避し続ける事は難しい。

 だが翼が逆羅刹を放とうと逆立ちした瞬間、彼女の視界に映ったのは上下が反転していないグレムリンの顔だった。

「ばぁっ!」
「ッ!?」

 グレムリンは翼が逆羅刹を放とうとする瞬間、彼女と同様に逆立ちしていたのだ。そして翼が逆羅刹を放ち体を回転させると、それとは逆回転しながら蹴りを放ち逆羅刹を相殺する。

 まるで2人揃ってブレイクダンスで争っているかのような光景だったが、グレムリンは一瞬の隙を突いて体を支えている翼の手を蹴り飛ばした。

「あっ!?」

 バランスを崩し、甲板上に倒れる翼。

 その彼女の巨大な鋏が押え付けた。

「はっ!?」
「じゃ〜ね〜!」

 鋏の正体はグレムリンが使っていた双剣。鍔の部分で合体させるとそれは巨大な鋏に変化し、グレムリンはその鋏で翼の首を断ち切ろうと腕に力を込める。

 翼が背筋に悪寒を走らせたと同時、グレムリンを透が蹴り飛ばした。何とか体力を回復させた彼は、とにかく翼からグレムリンを引き剥がそうと突撃したのだ。

「ととっ! ふふん!」
「先輩、大丈夫か!?」
「すまない、2人共。助かった」

 グレムリンを引き剥がし、透は翼を助け起こすクリスの隣に並び立つ。これで状況は3対1となった訳だが、グレムリンは全く気にした様子が無い。3人が相手でもまだまだ余裕と言った雰囲気だ。
 悔しいが、ここまでの戦いで彼がそんな余裕を持つのも納得できてしまっていた。

「なるほど、2人が揃っても苦戦する訳だ。得体の知れない奴め」

 今し方の攻防で翼もグレムリンに対する警戒心を抱いた。3人に警戒され、グレムリンは仮面の奥で笑みを浮かべるとピエロの様に双剣をジャグリングしながら近付いていく。

 次は一体何をするつもりなのかと、警戒しながら何時でも動けるように身構える3人。

 その時、何処からか強烈な閃光が海に向かって飛んで行き、着弾地点から更に強い光の柱が立ち上った。そしてその光の柱の下から、巨
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