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レーヴァティン
第二百十五話 渡河その十二

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「本当にな」
「ほんまに娼館行ったんか」
「そう思う位だよ」
「あの、私もこの世界の主人とは」 
 夕子が顔を赤くさせて言ってきた。
「夜は」
「やっぱり出るよな」
「自分でもわかります」
 久志に赤くなった顔で答えた。
「どうしても」
「そうだよな」
「もう不思議といそいそとして」
「顔だってな」
「真っ赤になっている」
 このことがというのだ。
「わかります」
「そうなってるよな」
「どうしても」
「普通はそうなんだよ」
 久志はややむっとした顔で言った。
「そうしたことする時はな」
「顔や態度にですね」
「出るんだよ、けれどな」
「英雄さんは」
「全くでな」
 出ていなくてというのだ。
「本当に遊んでるのかどうかな」
「わからない位ですか」
「けれど毎晩だからな」
 そうしたことが出来る時はというのだ。
「昼だって行くしな」
「お昼もですか」
「あれで酒と女はかなりでな」
「そうですか」
「お昼でも行けるなら」
 それならというのだ。
「行って夜もな」
「お昼に行かれて」
「そうなんだよ」
 英雄、彼はというのだ。
「全くそうは見えないのにな」
「色豪と言っても色々ですが」
 順一は首を傾げさせつつ言ってきた。
「ですが」
「それでもだよな」
「ああした風は」
「ちょっとないよな」
「そう思います」 
 順一にしてもだ。
「仮面を被っている様に無表情で」
「しかも好きな様にもな」
「見えないので」
「そうだよな」
「ですが」
「私達の誰よりもですね」
「あいつはそうしたことにな」
 色のことにというのだ。
「造詣が深くてな」
「お好きですね」
「ああ、ずっとな」
 この世界で一緒だった時からというのだ。
「好色一打男みたいなんだよ」
「井原西鶴の作品ですね」
「あの作品は男もだけれどな」
 主人公の浮世之介はそちらも楽しんでいた。
「女の子一本でな」
「楽しまれていますか」
「兎に角娼館が好きだな」
 よく行くというのだ。
「それでな」
「遊ばれていますね」
「今は大奥で」
 将軍になった後はというのだ。
「やっぱりな」
「一度に何人の方もですね」
「らしいな、好きでも」
 色をというのだ。
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