エンディング
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2人。コンビニで買ってきた夕飯を袋から取り出しながら、つい先ほどまでこの場所で起きていた顛末に耳を傾けていた鳥居が問う。
「ああ、大したもんだったぜ。遊野の奴はもちろんだが、やっぱ竹丸ちゃんの才能はとてつもないな。トラウマにでもなってないかと思ってちょっと心配だったが、結果的にはヒリヒリした実践に放り込まれたのも良かったらしい。前に見た……っつってもアンタは見てないのか、まあとにかくその時よりカードの使い方も引きのキレも上がっててな。ありゃ八卦ちゃんどころか、アタシやアンタもうかうかしてたら危ないぞ?」
「へえ。それで……」
どちらが勝ったんです、と喉元まで出てきた質問を、すんでのところで飲み込んだ。どうせこの上司は答えないだろう、というのもあるが、それ以上に彼自身がそれは重要なところではない、と感じたからだ。代わりに、もうひとつ別に気になったことを聞いてみる。
「あいつ、もう行っちゃったんです?」
「ああ、らしいぜ。突然ふらっと来て突然いなくなるんだもんな、なんか夢でも見てた気分だ」
「そこは同感っすね。あー、だからか」
「あん?」
上司のなにかあるならさっさと話せ勿体ぶるなと言わんばかりの視線に肩をすくめ、おにぎりの包装を破りつつさっさと口を開く。別にこんなこと、わざわざ溜めるような話でもない。
「いえね糸巻さん、俺さっき……多分そのデュエルが終わってお開きになった時っすね、写真屋から出てきたところでちょうどあいつと会ったんすよ。なんか妙に話しかけてくるなーとは思ったんすけど、あれ別れの挨拶のつもりだったんすね。おかげで、ちょうどこれも渡せたんですけど。あ、こっちは糸巻さんの分です」
「お、現像終わったのか。悪いな……明日来たら、八卦ちゃんと竹丸ちゃんにも渡してやらなきゃな。鼓と笹竜胆にも、ちと面倒だけど送ってやるか。着払いでな」
鳥居の差し出したそれを受け取り、指の間に挟んでしげしげと眺める。今頃は清明も、どこともつかない空の下でこれと同じものを眺めたりしているのだろうか。先日のパーティー終了時、全員で並んで撮った集合写真の笑顔を見つめながら、ふとそんなことを考えた。
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