エンディング
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が起きるのかもまるで予想がつかないから。また目の前で誰かが僕を生き残らせようとするのが、それで会えなくなるのが」
「清明、さん」
「あんなの僕は、もう怖い……」
感情を吐き出すような、震える弱音。それは、この世界で彼女たちが見てきていた姿からは想像もできないようなものだった。
そしてそんな姿と隠れていた本音を前に、恋する少女は。急に見た目の年齢、自分たちと大差ない程度にまで小さく見えるようになった背中に手を伸ばそうとして……しかしその手が触れる前に、また彼の背筋は伸びた。口元にはいつも通りの温和な微笑みを浮かべ、もう声も震えてはいない。
「とまあ、こういうわけでね。まあ、もう一生会えないわけじゃない……と思うよ、うん。何かの拍子で縁があったら、その時はまた遊びに来るよ」
そう告げる彼の様子からは、もう弱さはまるで感じられない。もしも少女の伸ばした手が彼が本心を取り繕うより先に届いていれば、何かは変わったのだろうか?
しかし、それはもはやあり得ない仮定の話に過ぎない。唯一にして最後の機会は、もはや永遠に失われた。それを聡い少女は、感じ取った。理解してしまった。
「なら……」
視界が潤む。両目に力を込めて、必死にそれが溢れ出るのを堪える。彼の顔を、最後まではっきりと見つめるために。最後の頼みを、自分の言葉で届けるために。
「なら、清明さん。せめて私と、最後にデュエルしてくれますか。全力で、私と戦ってくれますか」
「竹丸さん!?」
この言葉は予想外だったのか、親友の名を驚きとともに呼ぶ八卦。その驚きは、半分は喜びの声でもあった。彼女はまだ、自分と同じくデュエルモンスターズに魅せられていることがその一言だけで理解できたからだ。出会いからして楽しいことなど何一つなかったであろうに、まだカードのことを考えるほどに。その気持ちがよくわかるからこそ、喜びもまたひとしおで。パッと表情を明るくし、誘われた清明の方へと目を向ける。
そして彼もまた、思いは同じだった。ほんのわずかに目を丸くしたのちにふっと笑い、左腕の腕輪が展開する。デッキの中に先ほど抜き出していた儚無みずきのカードを滑り込ませると、展開されたデュエルディスクの骨組みに水の膜が張る。ひらりと軽やかに立ち上がってオフィスの端まで距離をとり、自然体に構える。
「いいよ、本気でやろうじゃないの。うんと楽しく、とびっきりのをね。さあ、デュエルと洒落込もうか!」
「……はいっ!よろしく、よろしくお願いします!」
「へー、そんなことがあったんすか。それで、どうなったんです?」
そして日は沈み、時刻はすっかり夜。子供たちは家へと帰り、いまだオフィスにいるのは相も変わらずため込んだ残業と格闘する糸巻と、それに付き合わされる鳥居の
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