エンディング
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け止めた。
「僕もあのプラントであの人と1回デュエルしただけだけど、あれはなんか……『こっち側』の代物っぽい気がする。エネルギーが強すぎて妨害電波が効かないんじゃなくて、闇のデュエル発生装置だよあれは。そもそも原理が別物だから、最初から効くわけないっていうか」
「それが本当だとして、じゃあアタシらはどうしろってんだ?」
「だから言ってるのよ、僕がここを出るって。多分、そうすればそのうちあのデュエルディスクからもオカルトパワーは抜けてくと思うし。これ以上変なアイテムやいわくつきのカードが生まれると、どこで何が起きるやら」
その言葉に嘘はなく、彼が本気でこの世界のことを案じているのがわかる。そして糸巻は、まさにその世界を守るためのデュエルポリスだった。ゆっくりと息を吐き、後ろで息を殺し自分たちのやり取りを見守っていた少女2人と目の前の少年の顔を見比べ……もう一度、大きくため息をついた。
「ったく、やだねえ年上ってのは。こういう面倒なことを言わなきゃならないのは、いつだってアタシの役目かよ。わかった、まあ元気でな」
「そんな……な、なら!私も、連れて行ってください!」
飛び掛からんばかりにしていつもの奥手さからは想像もつかないような粘りを見せる親友に、目を丸くする八卦。しかし、恋する少女にはそれを気にする余裕もない。
そして、当の清明本人は。激情に駆られた少女の本気にほんの一瞬だけ後ろ髪引かれるように目を閉じて、しかしすぐに真っすぐな視線を合わせる。
「それは、無理。ごめんね、竹丸ちゃんは悪くないんだけど」
光の加減か、それともこれも年の功か。糸巻の目にはまず一言でばっさりと拒否したのち、ほんのわずかに清明の表情が歪んだようにも見えた。これまで自分から開示することなく、彼女自身もわざわざ問い詰めてこなかった少年の過去が垣間見えたことにわずかに意地の悪い好奇心が刺激され、あえて助け舟は出さず腕を組んだままに耳を澄ます。
「…………僕は昔っから、大事な人を目の前で亡くすことが多くてね。生後3か月目には実の母親、それからしばらく経って高校の時には、もう数えるのも思い出すのも嫌なほどに。ごめんね、わかってるんだ、そんなの偶然だって。でも皆、僕を生き残らせるために命を捨てて何かを託していって」
もう散々に泣いたのだろう、その両目からは涙が流れこそしなかったものの、どれだけ平静を装っていてもわずかな声の震えを糸巻は聞き逃しはしなかった。そしてそれは、彼女よりずっと人生経験の浅い少女たちにも伝わったようだ。
「だから、ごめん。そのお願いは、ちょっと聞けないかな。親御さんや八卦ちゃんが心配するとか、本当はそういうことを言うべきなんだろうけど……正直に言うと僕には、それが何より怖い。どんなところに出るのかも、何
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