エンディング
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てられたりもしているのだが、無論精霊の認識能力を持たないこの場の3人にそこまでは知る由もない。
もっとも、彼とて決してその場の思い付きや風向きからこんなことを言い出したわけではない。元居た世界を離れこの地に降り立ったのはほんの偶然だが、そこからかれこれ半年近く。長く住み着いたことで、それなりに愛着もある。
それでも、当てのない旅に出ようと決心するだけの理由が彼にもあった。ため息ひとつして近くの来客用ソファーに身を投げ出し、普段はめったに見せることのない真面目な表情でその場にいる3人の顔を眺めまわすと、明らかに場の空気が変わったことを文学少女も敏感に感じ取り、ようやくショックから多少立ち直った。
「まずおかしいなと思ったのが、この子のこと」
すっと持ち上げた指2本の間には、いつの間にやらデッキから抜き取られた儚無みずきのカード。言わずと知れた、そもそも彼がデュエルポリスと接触するに至ったある意味はじまりの事件。精霊のカード騒動の中心となった1枚である。
「そもそも精霊のカードがあっちこっちにいること自体がおかしいのよ、本来。もともと僕がいたところは、この辺よりもカードの力が強くてね。封印されて鍵までつけられた強大なカードが学校のすぐそば、というか同じ島の中にあったり、なんか賢い人が頑張れば人工的に次元を越えてカードの精霊世界に行けたりとか、まあそういうところだったんだけど」
「内容以前にアンタのその説明がすでに頭悪そうなんだが」
「精霊が多かったところから来たの。これでいい?で、カードの精霊ってのは呼び水みたいなものでね。なんか1人出ると、それに触発されるのかそのカードを起点に精霊世界との繋がりが生まれるからか、割とそのあともあちこちで生まれやすくなるのよ」
混ぜっ返しにもいつもの何も考えていないような能天気な反応では返さず、変わらぬ真面目な調子を保ったままに。本人なりに、この問題については長いこと考えていたことが垣間見えた。
「たぶんこの子は……いや、下手するとなんかすごい『BV』だっけ?これはあんまし言いたくなかったんだけど、あれだってどうも精霊持ちの僕がこの世界に来たから生まれたような気配がするのよね」
「……あー?ちょっと待て、どういう意味だそれ」
すっと、糸巻の目が細まる。先ほどのおふざけ交じりなそれではなく、本気の『赤髪の夜叉』の向ける視線に、部屋の気温さえも数度ほど下がったような錯覚がした。もっとも、彼女にしてみれば当然だろう。永遠のライバルたる巴とともに突如として彼女の前に現れ、その理不尽さをもって散々な目に合わせてきた異常出力のイレギュラー。その生まれた要因が、これまで彼女に協力してきたこの異邦人にあるという。
……冗談にしては、あまりに笑えない。しかしその視線を、清明は真正面から受
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