エンディング
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「そうそう、少し言っておきたいことがあって。僕、ここをそろそろ出ようと思うんだ」
それは、海上プラント戦での打ち上げパーティーから数日後。鼓や笹竜胆もそれぞれの場所へと帰っていき、家紋町にまた束の間の平和が戻ったある日のことだった。輝いていた日も徐々に傾き始め、ゆっくりと西日がオレンジ色の光を差し込んでくる時間。どこかまったりした空気の中で、いきなりとんだ爆弾を放り込んできた少年がいた。遊野清明、その人である。
「は?」
糸巻の言葉は、その場にいる全員の心境を極めて簡潔に言い表していた。小心者ならばそれだけで怖気づきそうなそれを受けて、しかし少年は慌てる様子もなくひどく大人びたしぐさで小さく肩をすくめ、なんてことないように言葉を続ける。
「少しばかり急な話だけど、次元の揺らぎがこの近くに発生しそうでね。この機を逃すと、次に他の世界まで飛べるのはいつになるか見当もつかないのよね……あーわかったわかった、わかったからそんな目で見るのやめてって。要するに、旅に出る時期なのよ」
「清明さん、いなくなっちゃうんですか……!?」
まるで要領を得ない説明に、真っ先に反応したのはこの日も当然の権利のごとく学校帰りにデュエルポリスのオフィスまで遊びに来ていた八卦である。もっとも彼女のこの反応の早さは、どちらかといえばその隣に今日もついてきていた親友のため、という方が強い。現にその視線は清明本人よりも、むしろその横で顔面を蒼白にしつつこの世の終わりを見たかのような表情で立ちすくむ親友の方に多く向けられている。
「……え……?」
絞り出すようにそれだけ口にした文学少女にあわあわと処置に困りながら、とにかくの助けを求め彼女が最も信頼するお姉様、つまり糸巻に視線で助けを求める。
もっとも、この場合他に選択肢がないというのもあるが。本来ここにいるはずのもう1人のデュエルポリス、鳥居浄瑠は現在外出中である。
それはさておき、そのままたっぷり数秒後。欠片も逸らされない純粋な、そして切実な視線に耐えきれなくなった糸巻が頭を掻きつつ観念して立ち上がった。
「なあ清明さんよ、そこでフリーズしてる子のためにも、もうちょっと何か言うことはないのか?」
「そうは言ってもねえ。元々ここにだって、最後の挨拶だけしに来たつもりだったし。後で八卦ちゃんの店に寄れば竹丸ちゃんにも会えると思ってたから、むしろここで会えてラッキーだったな……と……」
後半になればなるほど声が小さくしどろもどろになっていくのは、女性陣から容赦なく浴びせかけられる氷点下の目線にようやく気が付き始めたからだ。ちなみにその裏では頼みのブレイン、地縛神 Chacu Challhuaにテレパシーで助けを求め、説明下手なのが悪いとばっさり切り捨
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