氷結の魔人
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ハルトは立ち止まった。
一方真司は、そのまま突っ切ろうと足を止めずに走る。
「少々お待ちください。……ライダーのサーヴァント」
ライダー。そしてサーヴァント。
普通の人ならば間違いなく口にすることのない言葉に、ハルトと真司は凍り付く。
「ようやくこちらを向いてくれましたね」
「……誰だ?」
ハルトと真司は、それぞれ警戒を向ける。
白い青年は、肩を鳴らし、ポケットに手を突っ込む。
気取ったように顔を上げ、ゆったりと息を吐いた。
「この二人でよろしいですか? コエムシ」
『ああ。いいぜ』
脳に直接響いてくる、苛立たせる声。
それは、青年の隣にふわりと浮かぶ。風船のような体のそれは、浮かぶ頭に小さな胴体がぶら下がっているという形だった。遊園地のマスコットのような愛らしい顔付きをしているが、ニタリと笑む口元が、その外見を真逆のイメージに染め上げていた。
「アイツは……!」
「コエムシ!」
聖杯戦争の監督役、コエムシ。
これまで何度かハルトたちの前に姿を現した監督役の一人。コエムシは、まったく動かない外見のまま、平坦な目をこちらに向けた。
『よお。松菜ハルト。久しぶり。元気?』
「お前にはもう会いたくなかったよ」
『いきなりなご挨拶だなオイ』
コエムシは不満げに体を揺らした。
『聖杯戦争の参加者が、サーヴァントなしのマスターを守ってあーだこーだやってんじゃねえよ』
「マスターって……」
「紗夜さんのこと」
ハルトは、真司を納得させた。
「って、この前のあの子、マスターだったのか!?」
「そうだけど……言ってなかった?」
「聞いてねえよ!」
『お前らうるせえよ! 話し進まねえからこっちに注目しやがれ! ったく、戦わねえクソ参加者の対応を任せられるこっちの身にもなりやがれ!』
体を何度も揺らすコエムシ。
『そんなルール違反ばっかりしやがるクソ野郎どものために、今回は信用できる処刑人を用意してやったぜ』
「信用していただけるとは。光栄ですね」
白い男が鼻を鳴らす。
だが、それはハルトにとっては最悪の報せであった。
「処刑人……! こんな時に……ッ!」
ハルトは苦虫を噛み潰した。
コエムシは続ける。
『今回はこれまでみてえなナヨナヨした処刑人じゃねえ。徹底的にてめえらを八つ裂きにできる人材を選んでやったぜ!』
コエムシはそう言いながら、白い男へ顔を向ける。
『おい。分かってるよな? さっき言ったこと』
「ええ。彼らを葬れば、生き返れるのですよね?」
『ああ。間違っても、敵に同情とかしねえよな?』
「まさか。しませんよ」
白い男は微笑しながらハルトたちに歩み寄る。
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