第108話『VS.巨人』
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より燃費は悪いが、桁違いの出力でスピードを底上げできる。身体がさらに軽く感じ、今にも飛べそうな気分だ。
「準備オッケーだよ、結月」
「いつもより風が強い……やっぱりハルトは凄いや。うん、ボクも負けてられない──"鬼化"!!」
その瞬間、空気の流れが変わった。そして身も凍るような冷気と、身の毛もよだつような鬼気が肌を刺す。この感覚は、2回目だろうととても慣れそうにない。
晴登の隣、鬼と化した結月が顕現する。
「……これだけ近いと、さすがに寒いな」
「ごめんねハルト。少しだけ我慢して」
「いや、夏だからちょうどいいかも」
今回もコントロールに問題はなく、きちんと理性を保っている。……いや、暴走したことはそもそもないんだけど、そこは心配しちゃうもので。
身に染みる寒さに軽口を叩いた晴登は、ひっそりと口角を上げる。前は見ているだけだったが、今回こそ鬼化した結月の隣で戦えるのだ。場違いかもしれないが、ついワクワクしてしまっている自分がいる。
「……ちょっと、あんまりこっち見ないで。こんな姿、見られたくないから……」
「え、何で? かっこいいじゃん」
「……! もう、ハルトのバカ……」
「えぇ?」
率直な感想を述べただけなのだが、結月がそっぽを向いてしまった。何かおかしなことを言ってしまっただろうか。
「もう、行くよ! ハルト!」
「お、おう!」
結月に急かされ、慌てて晴登は前を見る。
壁のように立ち塞がる巨人2人。字面だけ見れば、鬼やドラゴンにも匹敵するのではなかろうか。強大な敵だ。
それでも、この2人でなら立ち向かえる。そうやって、今まで修羅場を突破してきたのだ。もはや負ける気はしない。
そう思ってワクワクしながら、晴登と結月は地面を大きく踏み込んだ。
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