第108話『VS.巨人』
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て──
「……どうした、もう終わりか?」
「えぇっ!?」
「嘘だろ……」
なんと【タイタン】は無事だった。しかも、見るからに傷一つ付いていない。あの技を無傷で防がれるのは、さすがに想定外だった。
しかし、一体なぜだ。結月の氷結は並大抵の炎ならそれごと凍り尽くすほどの威力。あの爆炎で多少は威力が弱まるにしろ、完全に防がれるはずがない。まして、晴登の風も加わっているのだ。その後に構える斧のガードを突破できないなんて、果たしてありえるのだろうか。
「となると、あの"斧"に何か仕掛けが……? それとも"爆破"に……?」
「ハルトハルト、こうなったらやるしかないよ」
「やる? やるって何を?」
彼らの能力のタネについて考え込んでいると、結月が何か決死の策を思いついたようで、覚悟を決めた表情でそう告げてきた。言い方的には晴登も知っていることのようだが……
「ボクが──"鬼化"する」
「……っ! けど、そんなことしたらまた熱が……」
「1日風邪引くくらい大したことないよ。この相手に出し惜しみなんてしてられない。そうでしょ?」
結月が提案したのは、彼女自身の切り札、"鬼化"だった。
確かにそれを使えば彼女の力は飛躍的に向上し、彼らを打倒できるようになるだろう。"氷結嵐舞"が防がれた以上、それに頼らざるを得ない状況だというのはわかる。
ただし代償として、彼女が熱を出して寝込んでしまった前例がある。
つまり、この試合を勝ち上がったとしても、結月はもう本戦に出場できない可能性があった。
魔導祭優勝を目指すのであれば、彼女の戦闘力は必須と言っても過言ではない。できることなら、この後の試合にも全て出場して、余裕で勝利を取ってきて欲しい。
……もっとも、本音としては頼りきりになりたくないし、無茶もして欲しくないのだが。
それでも、今の彼女は本気だ。自分がどうなろうとも、チームを勝利に導くという気概を感じる。だったらパートナーとして、それに応えない訳にはいかない。
「……わかった。けど少し待って。頑張ってついていけるようにするから」
晴登は一息つくと、意識を下半身に集中する。部位にして太ももの辺り、そこから足先にかけて風を纏わせていった。
"風の加護"とは一味違う。足先だけでなく、脚全体をカバーしている。
この技は、風香と特訓したことで会得した、"風の加護"に次ぐ自分専用の新しいサポート技──
「名付けて、"疾風の加護"!」
この試合は一心同体がルール。鬼化した結月だろうとついて行く必要がある。そのためには、"風の加護"のスピードでは足りない。
そこでこの"疾風の加護"ならば、いつも
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