第108話『VS.巨人』
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きく見えてしまう。まさに巨人だ。
ちなみに、身長だけじゃなくてそもそもの体格が筋肉質で横にも大きい方の男が轟で、対照的に細身でメガネを掛けている方の男が建宮である。体格的にはどう見ても不釣り合いなタッグだ。
『それでは両チームに手錠を用意します。なお、手錠をどちらの手首に付けるかはお任せします。ただし、手首以外に付けたり、壊したりすることはルール違反で失格ですので、注意してください』
ジョーカーのその言葉とともに、空から手錠が降ってきた。キャッチして見てみると、それはスライムのような柔らかい素材をしており、とても伸縮性がある。
「えっと……結月が右手を使えた方が良いから、俺が左側かな?」
「別に右も左も気にならないから、ハルトが戦いやすい方でいいよ」
「ならお言葉に甘えて右側で」
相談の結果、晴登の左手首と結月の右手首を繋げることにした。実際に付けてみると、スライム手錠は吸い付くように腕にフィットし、次第に石のように固くなっていく。
なるほど、これだけフィットしているなら激しく動いても手首を痛めることはなさそうだ。とはいえ拘束されている以上、動きにくいことに変わりはないが。
「……ねぇ、今恋人繋ぎはやめない?」
「え、何で?」
「いや、恥ずかしいからだよ……」
「ちぇっ」
さりげなく指を絡ませてきた結月にそう言うと、彼女は残念そうに手を離した。
恋人とはいえ、さすがにこんな大勢の人の前で、ましてや今から戦闘という時に手を繋ぐのはよろしくない。TPOを弁えろとはこういうことだろう。
「……やっぱりデカいな」
目の前の対戦相手を見て、ポツリと呟く。何せ身長差は30cm以上あるのだ。顔を見るのにも見上げる必要がある。
「でもイグニスと比べるとそうでもないよね」
「比較対象がおかしいよ。でも、そう思うと可愛く見えてきたかも」
そんな時、結月の小言が緊張を和らげてくれた。
そう、晴登たちは裏世界で、体長が何mにも及ぶドラゴンと遭遇し、そして戦ったのだ。その経験を鑑みると、たかが身長の高いだけの人間なんて可愛いものである。
そうして肩の力が少し抜けたところで、相手チームが話しかけてきた。
「君たちが中学生だろうと、ここまで勝ち上がってきたその力は認めざるを得ない。存分に力を発揮して戦いましょう」
「相変わらずお前は堅苦しいことしか言わねぇな。とりあえず勝ちゃいいんだろうが」
建宮と轟が見た目にそぐうセリフを言う。どうやらもう、晴登たちを中学生だからと侮る人はいないようだ。逆に言えば、油断から生まれる隙もなくなる訳だが。
『両者とも手錠は嵌めましたか? それでは第2試合、開始!
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