第百四十四話 赤い彗星
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せん。少将は悦に入ると周りが見えなくなる性格でして」
造船准将は非常に気まずそうに謝る。
「それは判ったが、先ほどからの質問だが、何故赤いのか、何故アンテナが露出しているのかだが」
「はっ、赤い塗色ですが、此は現在開発中のビーム兵器を反射・拡散するシュピーゲル・コーティングを施した新素材の表面処理装甲の試験運用として開発された表面処理でして、有る程度までのビームを反射可能です。最終的には白色のシールドを更に張り付ける形で完成する予定ですが、今のところはここまでが最先端と成っております。
そしてブレードアンテナですが、ご存じのように我が軍の艦艇は全て大気圏突入の為にアンテナ類は内蔵していました。その為残念な事ですが、叛乱軍の艦艇より索敵照準等で若干劣る事がありました。それを鑑み、通常時にはアンテナの露出を行い、大気圏突入時には艦内へ収納する方式をテストすることになり、本艦が実験艦として収納式アンテナが装備されたわけです。しかし艦体上部は大気圏突入に影響がないため、そのままの状態で装着してある訳です」
造船准将の自軍の艦艇が只単に優秀であると言わずに、欠点もさらけ出した、懇切丁寧な説明にやっと、ケスラーもメックリンガーも納得できる様になった。
「なるほど、そう言うことだった訳か」
「確かに、艦隊運動では敵に一日の長があることが、エル・ファシルで捕獲した艦の分析でも指摘されていますな」
「当艦はその為に、コンピューターの増設強化をした結果、通常の三倍の演算能力を持つ事に成功し、更に艦隊運動ソフトも最新の物に変更してあるため、艦隊運動制御を通常の三倍にする事に成功しております」
「なるほど、その為にこの艦を艦隊旗艦として使用せよと言う事か」
「殿下の意図が此でハッキリしましたな」
「そうだな」
最初この真っ赤なこの艦を見たとき、ケスラーは以前テレーゼが、母上にお仕置きを受けたときに助けずに、笑っていたので、テレーゼから地味な仕返しを受けたのかと内心は思っていたのであるが、造船官の言葉を聞いて、自分の勘違いだと判ったのである。
しかし、実際には、『ケスラーと言えば、池○秀一じゃない、それならば旗艦は赤くなきゃ駄目だよね、それに三倍でブレードアンテナが無いと駄目だよね』という極々簡単な声優ネタを思い出して指示したので、ケスラーの考えも満更外れていなかったのであるが、此は禁則事項としてテレーゼ自身の胸の内にしまわれたままになった。
その数日後に行われた試運転で、悶える造船少将は、ほっておいて、タウベルト准将の監修の元で高速航法、火器管制などの試験を行い、カタログスペックを上回る機動性、管制能力を発揮しケスラーとメックリンガーを唸らせることになった。
その後正式にケスラー艦隊旗艦として配属され、ケスラ
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