第十七話 裏側のことその一
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第十七話 裏側のこと
咲はこの時自分の家の中でモコを見ていた、今モコは遊ぶ時間なのでケージの外に出ておもちゃで遊んでいる。
その彼女を見つつビールを飲んでいる父に尋ねた。
「モコの親どうしてるの?」
「どうしてるって今も家で暮らしてるよ」
父はあっさりと答えた。
「飼い主さんの家でな」
「そうなのね」
「そうだよ、モコだって生きものだからな」
それでというのだ。
「親がいるぞ」
「生きものだったらね」
「ああ、絶対にな」
「機械じゃないから」
「ちゃんとな」
「お父さんとお母さんがいるのね」
「それこそ何もなくて生まれるなんてな」
父はビールを飲みつつ言った。
「絶対にないからな」
「生きものならなのね」
「植物だって種があってな」
「そうよね」
「だからモコだってな」
「お父さんとお母さんがいるのね」
「人間と同じだよ」
親がいることはというのだ。
「キリストさんだってマリアさんがいるだろ」
「それでお父さんもね」
「ヨセフさんな」
「何か神様が宿したのよね」
「けれどマリアさんの旦那さんだからな」
ヨセフはというのだ。
「だから神様が宿していてもな」
「キリストさんにもお父さんとお母さんがいるのね」
「そうだよ、モコにも親がいてな」
「今も元気ね」
「ペットショップの犬や猫だってそうだぞ」
父はつまみの柿ピーナッツも口の中に入れた、そしてそれを齧りながらそのうえで娘にさらに話した。
「ただそこに売られてるんじゃないんだ」
「お父さんとお母さんいるのね」
「ちゃんとな、それで買ったらな」
ペットショップでというのだ。
「一生大事にしないとな」
「いけないわね」
「ただな」
ここでだ、父は。
一旦テレビを見ている母に顔を向けてそのうえで問うた。
「母さん、ペットショップの話していいか」
「あのこと?」
「咲にな、いいか」
「もう知っておいていいと思うわ」
母の返事は真剣なものだった、父に向けた顔もそうだった。
「咲も高校生だし」
「そうだな、じゃあな」
「?随分深刻なこと?」
先は両親の様子が一変したのを見てこのことを察した。
「ひょっとして」
「かなりな、店によるけれどな」
父も真剣な顔で咲に語った。
「悪質な店もあってな」
「そうしたお店だとなの」
「店の裏とか工場で犬や猫を産ませてるんだ」
「?産ませるって」
「だから店で売ってる犬や猫をな」
その彼等をというのだ。
「産ませるだけの犬や猫がいるんだ」
「えっ、産ませるだけって」
「ケージにずっと入れて出さないで餌だけやってな」
「ブラッシングとかおトイレは?」
「ずっとそこだ」
父は今度は苦い顔と
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