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ドリトル先生と幸せになる犬
第三幕その四

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「ドリトル先生ですね、待っていました」
「じゃあお話を聞いて下さい」
「うちの娘は居間にいます」
「名前はふわりといいます」
「ふわりちゃんですね、わかりました」
 先生はお二人に微笑んで頷きました。
「ではお邪魔させてもらいます」
「はい、どうぞ」
「お茶を出しますね」
「いえ、お気遣いなく」
 その申し出には謙虚に応えてでした。
 先生はお家の中に上がらせてもらいました、この時も動物の皆も一緒です。
 それで居間に入るとご主人、文太さんというその人が言いました。
「ふわり、先生が来たぞ」
「ワン」
 わかったわパパと先生に聞こえる声で、でした。
 トミーに見せた画像の姿そのままの可愛らしいダークブラウンに近い毛の色の足の短いティーカッププードルの女の子がでした。
 清潔でティーカッププードルのお家としては広いケージから出てきました、そして先生の前に来ました。
「はじめまして」
「僕がドリトルだよ」
 先生は座布団の前に座ってその犬、ふわりと呼ばれた娘に応えました。
「宜しくね」
「全ての生きものとお友達っていう」
「そう言ってもらえてるよ」
「そうなのね」
「そして僕とこれからね」
「お話をよね」
「してくれるかな、君が落ち込んでいると聞いて」
 そうしてというのです。
「君のご家族から君のお話を聞いて欲しいって言われたんだ」
「私いらないって捨てられたから」 
 ふわりは俯いて先生に言いました。
「だから。それで今のパパもママも。そしてお兄ちゃんも」
「君を捨てるとかな」
「心配で」
「それはないよ。今のご家族は君を捨てないよ」
「そうなの?」
「そうした人達だから君を引き取ったからね」
 だからだというのです。
「そうしたことはね」
「しないの」
「君と絶対に離れないよ。ただね」
「ただ?」
「君のことをご家族にお話してご家族に君のことをもっとよく知ってもらって君に愛情を持って欲しいから」
 それでとです、先生はふわりに言いました。見れば尻尾がとても短いですし身体の毛はふわふわもこもこで足も短いので本当にぬいぐるみみたいです。
「君が生まれてからここに来るまでのことを話してくれるかな」
「わかったわ。私生まれた場所はよく覚えてないの」 
 ふわりは先生の優しいお顔と言葉に安心してお話をはじめました。
「犬のパパとママが生まれた私と兄弟、お兄ちゃん二匹と一緒にずっと大事にしてくれたのは覚えてるわ」
「生まれた時はだね」
「それで暫くしてね」
 生まれてから暫く経ってというのです。
「人が大勢いる場所に犬のパパとママから引き離されて」
「そうしてだね」
「お兄ちゃん達と一緒に何かお金がどうとか言われて」
 そうしてというのです。
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