暁 〜小説投稿サイト〜
我が剣は愛する者の為に
腐敗した街
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ったり、力加減を誤ってまな板を斬ったり、最後には焼き加減を間違えて料理を真っ黒にしたり。」

「ぐはっ!!」

一つ一つ駄目出しを喰らうたびに、豪鬼の胸に言葉という剣が突き刺さる。
しかも、それが弱愛している娘からというのがさらに効いている。

「だから、こんな駄目駄目なお父さんを支えないと、と思いました。」

その言葉が駄目押しだったのか、豪鬼はorzのポーズになっていた。
相当凹んでいるみたいだ。
やれやれ、とため息を吐きながら俺は美奈に問い掛ける。

「でも、美奈はそんなお父さんが好きだろう?」

「うん、大好き!!」

太陽のような笑顔を俺に向けて美奈は元気よく言った。
それを聞いた豪鬼は嬉しそうな顔をしながら、立ち直った。
鞄から地図を取り出して、一番近い街を確認する。

「今日はここで夜を明かす。
 準備していくぞ。」

準備と言っても、それほどする事はなく俺達は近くの街に向かって歩く。
ちなみに美奈は長距離による移動はつらいので、馬に乗せている。
美奈も馬が気にいっているので、問題はない。
地図を見た限り、それほど遠くはなかった。





「何だよ、これ・・・」

街に着いた一刀がその街の光景を見て、思わず呟いた。
それは俺達も同じだった。
現在、村の入り口に俺達は立っている。
しかし、入り口から見た街はまるで戦に巻き込まれたかのように、家がボロボロで街の人も道に倒れたり、近くのボロ屋にもたれかかっていた。
そして、街の中央にはこの街の風景には明らかに浮いている城。
遠目から見ても分かるが、戦に巻き込まれたようには見えないくらい壊された跡がない。
果たしてこんな状況の街を街と言えるのだろうか?

「とにかく、この街がどうなっているのか調べる必要があるな。」

俺の言葉に皆は同意するかのように頷く。

「豪鬼。」

「分かっております。
 美奈、私から絶対に離れるなよ。」

「う、うん。」

この街が異常である事は一目見ただけで分かった。
何が起こるか分からない。
豪鬼は美奈を左手でしっかりと抱きながら、右手は斧を掴んでいる。
美奈もこの異常な光景に怯えている。

「人の気配はする。
 戦争に巻き込まれたのか?」

俺がそう口にした時だった。
曲がり角から、槍を持った二人の兵士が現れた。
思わず俺は近くの家に隠れる。
それに反応して皆も近くの家などに隠れて様子を窺った。
俺と同じ家に星も入ってくる。

「どうして隠れるのですか?」

俺の行動に疑問に思ったのだろう。

「街は戦に巻き込まれたかのように、ボロボロ、それに人もだ。
 なのに、城はほとんど無傷。
 それにあの兵士もだ。
 何かがある。

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ