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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
第二百六十四話
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しながら、自分の腹を手刀で破る。

吹き出した鮮血が撫子の傷を癒やし、塞いでいく。

吸血鬼の血という万能の霊薬を以て、千石撫子は一命を取り留めたのだ。

「千石! 千石!」

一夏が撫子を揺り動かす。

「んっ……」

「千石っ!」

うっすらと目をあけた撫子を、一夏が抱きしめる。

「…一夏くん?」

「すまなかった。千石」

後悔と自責の籠もった声だ。

「一夏くんの言ったこと、わかったよ。クチナワさんなんて最初からいなかったんだね」

「遠回しな言い方で悪かった。正直、お前が札を飲むと思っていた」

「飲めなかった。わたしは意気地なしだよ」

「それで構わない。あれは危険な物だ」

一夏が抱擁を解く。

「今日はもう帰るんだ千石」

一夏は立ち上がり、血まみれの暦に近づいた。

その心臓の上。

全身の生体エネルギーの中心たる心臓に手をかざす。

自分の中の気功を注ぎ込む。

「おい! 早く起きろよ暦さん! 起きてくれ!」

自分の気功を半分ほど受け渡した辺りで、暦が目を覚ました。

それと同時、視界に入った一夏に対して殴りかかる。

「ユートピアぁ!」

体を起こし、そのバネで思い切り一夏を殴り飛ばした。

全力の一撃を受けて、一夏が窓を突き破って屋外へ吹き飛ぶ。

「暦お兄ちゃん?」

撫子の制止も振り切った暦が一夏を追う。

一歩の踏み込みで加速し、窓枠を通り抜けて外へ。

地面に落ち、立ち上がった一夏の首を左手で掴んで塀に叩きつける。

「っがっ?」

「今回ばかりはもう容赦しない!」

ゴキリと首をへし折られた一夏だが、それで話せなくなる訳でもない。

『気持ちはわかるが今はこうしている場合か? 彼女を追わねば』

「君を殺してからそうさせてもらう!」

暦の右手に銀の輝きが現れる。

吸血鬼の物質創造能力で作った刀だ。

姿形こそ心渡だが、切れ味も劣り、怪異殺しの効果もない。

だがそれでも塀もろとも一夏の首を刎ねるのには十分だろう。

振り下ろされた長刀が一夏の首を刎ねる寸前。

影から一振の大剣が現れ、暦の一撃を防いだ。

真っ直ぐに伸びる、巨大な錆びた剣。

『テメェごときに殺させるかよ」

その大剣が向きを変え、暦に向かって振り下ろされる。

バックステップで後退した暦の前には、金髪の、流麗な女性。

「かな…で…」

開放され、しゃがみこんだ一夏がその名前を呟く。

「おいユートピア。なんでやられっぱなしなんだよ?」

「ああ、悪い。でも、暦さんの気が済むならそれでも」

その続きは、別の人間の言葉で遮られた。

「いいわ
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