暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
予期せぬ事態
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た一手段に他ならなかった。だからこそ観念連合として呼び起こされたのだろうし、事実、非常に有力な手段ではある。ある、のだけれど……。


「粗方の必然性をもって、この奇怪事は構成されていると見た方が良いね」


《武偵殺し》がアリアを誘い出すための手立てとして、盗聴器は一種の足跡の役割を、恣意的に果たさざるを得なかった。そうした意図のかかった工作活動と、今しがた仮定した単なる工作活動というのは、性質がまったく異なりすぎている。その双方が自分の推論を邪魔していた。

話によれば、《武偵殺し》も《魔剣》も、ともに《イ・ウー》の人員らしい。内部の詳細こそ不明なものの、恐らく身内とされる2人の間柄を考えれば──それが標的を誘き出すための罠とはいえ──《武偵殺し》が採った結果に敗れた作戦を、《魔剣》が同じくして採用するとは考えにくい。むしろ既出の作戦にこちらが警戒していることまで、読まれているかもしれないのだ。


「だから2人は、なるべくお互いから離れないようにして。今となってはもう、意味が違う」


毅然とした口調で、自分は告げた。何のためか星伽白雪を狙う《魔剣》が、既に自分たちの付近にいることを自覚しながら──そうして、その裡面に暗躍する《イ・ウー》が、間接的ではあるものの、自分とアリアに急接近しつつあることもまた、自覚しすぎる以上に自覚しながら……。
その段階に入ってしまうと、こちらも警戒度を層、一層と上げていかなければならなくなる。


「……意味が違うって、どういうことだよ。やるべきことは変わらないのにか?」


そう問いかけてくるキンジは、《魔剣》との距離感を把握しきっていないように思えた。そんな彼に呆れたようにして、アリアが「その小さな脳でよーく考えなさい」と補足を入れる。
「さっきのイタズラ電話は、ほぼ間違いなく《魔剣》による電話なの。彩斗も言ったけど、電話の内容とタイミングが上手く一致してたでしょ? こんな偶然はそうそう有り得ないの。じゃあ、どうして《魔剣》はキンジがお風呂に入ってることが分かったの? そこが1つ目のポイント」


アリアはそう告げて、人差し指を立てた。


「盗聴とかハッキングとかが思い付くけど……たぶん違う。実は《魔剣》と《武偵殺し》は繋がりがあるらしいけど、その《武偵殺し》の工作活動に盗聴器があったじゃない? 今回の隠密接触で仮に自分が《魔剣》だとバレた時、アタシたちがどうやって《魔剣》に動向を確認されてたのかを疑うのは当然でしょ? それで真っ先に盗聴器が思い付くはずなの。だからアタシたちがこうして警戒することを見越して、敢えて手掛かりになるような証拠は残さないようにしてるはず」


「だから、」と付け加えて、アリアは人差し指の次に中指を立てた。 「
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ