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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
予期せぬ事態
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をしてたんだけど、急に電話が掛かってきたの。こんな時間に電話を掛けてくるのは身内くらいだし、同じ家に居るんだから、お話なら部屋に来てすればいいのに──って思いながら出たんです。するとね、『風呂場に居るんだが、ちょっと来てくれるか。今すぐだ』って言われたの。そうしたら、ご覧の有り様です。何だったんだろ……。おかしいね」
すっかり面食らって消沈してしまったらしい白雪は、最後には細細とした口調になっていた。
「おかしいも何も、」有り合わせのタオルで髪の毛を乱雑に拭きながら、着替えを済ませてきたキンジはぶっきらぼうに告げる。「どう考えてもイタズラ電話だろ。俺は電話なんて掛けてないし、そもそも風呂場で電話なんて怖くて使えない。俺の電話は防水じゃないんだからな」
「あっ、そっかぁ……。そうだよねぇ……」と白雪は納得したように頷いていたが、それにしても──といった疑懼の2文字が、この意識の上に堂々と浮上してくる。自分もアリアも、白雪もキンジも、内心では単なるイタズラ電話だと1度は納得しただろう。けれど、その納得を取り払ってみると、そんな単純なものには思えなかった。むしろ右に倣えの納得というものが──、
「楽観主義の得た、免罪符……かぁ」
「免罪符、って?」そう零した白雪の声で、自分の意識は引き戻された。いつの間にか伏せていたらしい顔を上げながら、同時にこの奇怪事の裏を仮定する。そうして伝えるべく口を開いた。
神妙な面持ちをしているのは、自分を除けばアリアしかいない。恐らくアリアも、気が付いたのだろう。彼女特有の天才的な直感力でもって、今のこの奇怪事と、件の騒動との関連性を。
「免罪符っていうのは、もともとキリスト教用語なんだ。罪に対する罰を免除してくれる証書で、一般的には口実と似た意味合いで使われているかな。もっとも今、自分が言いたいのは──この奇怪事の裡面を見澄まさないことへの、ちょっとした警鐘を鳴らすということでね」
「……回りくどい言い方は面倒臭い。簡単に説明しろ」キンジはそう言い放つと、1人用のソファーに腰掛けた。「要するに、平和ボケしたような俺たちの態度が気に食わないわけだろ? 」
「ふふっ。まぁ、1つずつ説明していこうか。これはあくまでも仮定の話だけどね」それでも、考えられない話ではない──そんな意図を込めながら、自分は2人に解説を始めた。
「まず楽観主義とは、物事を自分にとって都合が良いように解釈することだよ。悲観論で物事を見澄ますべき武偵の思想には、かけ離れている。……そうして、免罪符。これはある種の口実のようなもので、ここではその口実が、『イタズラ電話』という形で現れてしまったわけだ」
キンジも白雪も、まだ釈然としないような表情を浮かべている。
「キン
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