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緋弾のアリア ──落花流水の二重奏《ビキニウム》──
予期せぬ事態
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、衷心に他ならなかったのだ。
「……そっか。ありがと」アリアはそう呟きながら、目元を綻ばせて静穏に笑う。
そんな彼女の態度を見た刹那に、自分の胸臆に秘めている想いを今、この場所で赤裸々にしたくなった。告げた言葉の裡面にある想いは、それでもまだ伏せておかなければならないのだ。

この愚蒙を平然と宣うことができる時期ではない。今は、それよりも優先すべきことがある。
だからこそ、たとえ愚蒙と呼んだ想いであろうとも、それを彼女に面と向かって伝えることができる時期を迎えたのなら──その時は何が何でも、どうなろうとも、そうするつもりだ。それが、抱いたこの感情に区切りを付ける時か、或いは、この感情を成就させる時になるか──。

彼女の零した笑みにそんなことを思いながら、自分は小さく頷いた。その直後に、穏和の2文字が浮かぶリビングの外から、その穏和とは見事に掛け離れた雑多な物音が聞こえてくる。
2人揃って廊下の方に目線を向けるものの、扉の向こうで何が起きているのかは分からない。けれど、その物音がどうやら白雪の足音らしく判断したのは、お互いの共通認識からだった。


「──キンちゃん! どうしたの!?」


扉を隔てた廊下からは、白雪の悲鳴めいた叫び声が聞こえてくる。何かしら有事を迎えたのだろうか、それにしても──。しばし逡巡しながら、取り敢えずは、と紡錘形の《境界》を開く。
眼前を覆うように展開されたその向こうには、リビングへと入る扉の付近が見えた。照明に照らされた廊下に異変は無い。けれども洗面所を隠すカーテンが、何故か無造作に開かれていた。

その向こうに視線を遣ると、着替え途中だったらしい半裸のキンジと、何かしらの用事で赴いた結果にそれを目撃したらしい白雪が、互いに硬直して見つめ合っている。珍妙な光景だった。
「……君たち、何やってるの」その言葉で初めて、2人は自分たちの存在を認識したようだった。唖然とした態度を残しつつも、我に返ったようにして、決まりが悪そうにしている。


「それで、白雪はどうして叫んでたわけ? 取り敢えずこっち来なさい。話なら聞くから。……キンジも、いつまで裸でボケっとしてるのよ。早く着替えてアンタも来るの。何かあったの?」


アリアは呆れたようにして、茫然としている2人に機敏な態度を促した。彼女に手招かれた白雪は、《境界》を経由してこちら側に小走りで駆け寄ってくる。その背後でカーテンを閉めたキンジを確認してから、「えっとね、あのねっ」と狼狽する彼女を横目に《境界》を閉じた。
「いいから、まずは座りなさい」アリアはそう言って白雪をたしなめる。彼女は慇懃に「失礼します」と挨拶してからソファーに座ると、何度か深呼吸して気を落ち着かせているらしかった。


「……ずっと部屋で作業
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