魔槍ルーラ
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その発生源___頭上を見上げた。
「やあ。随分な挨拶じゃないか。キャスター」
漆黒の魔女。
黒い翼を肩、腰から生やす銀髪の女性が、トレギアに手のひらを向けていた。
そしてもう一人。黒い長髪が特徴の少女。少女という人種に似合わぬ拳銃を構える、キャスターのマスター、暁美ほむら。
「フェイカー。貴方を……排除する……」
彼女の目が、殺意に染まる。
「おやおや。キャスターペアがお揃いで。ライブでも見に来たのかな?」
「……」
トレギアへの返答は、ほむらの銃声だった。
トレギアは焦ることなく、素手で銃弾をキャッチする。鉛玉が、静かにトレギアの足元に零れ落ちた。
クールが似合う彼女の目は、怒りに燃えていた。
「まどかを利用した貴方は、許さない」
「へえ……安心してくれ。もう彼女には興味ないよ。鹿目まどかがもつあの因果律には確かに惹かれるものがあったが、こうしてマスターの体を手に入れた以上、もうどうでもいい」
トレギアは「ククク」と肩を震わせ、
「それに、今日は少し忙しくてね。君の相手は、別で用意してあげるよ」
そう言って、トレギアは指をパチンと鳴らす。
すると、例によって、トレギアの足元より闇が地表へ落ちていく。
闇が固まって出来上がったそれは、怪物の姿。
ただの異形の化け物ではない。手、足、胴体。その全てが、様々な怪物の体のパーツから構成されている。
ほむらやキャスターには知る由もない。以前見滝原公園でウィザードたちが戦った怪物たちもまた、その怪物の体を構成していることに。
ウィザードが戦ったブロブが右足に。
赤のヒューマノイドに敗れたネズミは右腕に。
ビーストを苦しめたムンクは腹部に。
ミラーワールドで龍騎と激突した岩石生物は左腕に。
可奈美と同等の速度を誇る狼男は頭部に。
そのほか、無数の怪物たちの体のパーツが、その怪物の全てを作り上げていた。
「何なの……あれは?」
ほむらはその姿に戦慄している。
なかなかの表情に、トレギアは唇をなめた。
「君たちの相手は、コイツがしてくれるよ。まあ、精々生き残ってくれたら、私が相手することも少しは考えてあげるよ」
合成された怪物は吠え、ほむらへその右手の鉤爪を振るった。
キャスターは両腕を交差し、ほむらの前に高速移動。黒い魔法陣を展開し、その攻撃を防御する。
だが怪物は、即座にキャスターへの対策に出る。
その肩より放たれる、無数の花粉。桃色のそれを見た途端、キャスターは目を見開く。
「これは……!?」
「キャスター!」
ほむらの悲鳴が聞こえるがもう遅い。
可燃性の高い花粉は、その場で爆発。
二人の黒の姿は、爆炎の中に消えていった。
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