魔槍ルーラ
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だが、スイムスイムに反応はない。
ただ、茫然とその長槍を見下ろしていた。
「モノクマ……! お前、一体何を……」
『うぷぷ。だって、アヴェンジャーはこんなチンケなナイフで戦っているんだよ? 可哀そうじゃない?』
モノクマは、頭上でスイムスイムのナイフを乗せ、弾ませながら言う。
『こんな願いのために健気な女の子に、ハンデを背負わせるのは、運営としてはねえ?』
「ルーラ……」
だが、肝心のスイムスイムは、ウィザードとモノクマの声に耳を貸さない。
「ルーラ……」
自らの世界に没頭したスイムスイムは、長槍に頬ずりする。
何度も何度も。頬を赤らめて、あたかも再開した母親に甘える子供のように。
「ルーラ……ルーラ……よかった」
やがてスイムスイムは、そう言って両手の長槍をウィザードへ向けた。
「私はこれで、お姫様になる」
「お姫様って……それが君の願い?」
その問に、彼女は頷いた。
「だから……やっつける」
スイムスイムの敵意に、ウィザードは警戒を向ける。
その時。
「ハルト!」
その声は、鏡から。
突如として、窓から現れた赤い仮面が、ウィザードとスイムスイムの間に飛んできた。
赤い鉄仮面。それが自らのサーヴァント、ライダーであり、城戸真司の変身した姿であることをウィザードは知っている。
「真司!? どうしてここに!?」
「日菜ちゃんに頼まれて来た。お前は?」
「紗夜さんに付けていたユニコーンが知らせてくれたんだ」
龍騎は、ウィザードの隣に並ぶ。
スイムスイムは、手に戻った得物で、ウィザードと龍騎の二人を順に指す。
「二対一……」
「なあ、ハルト」
「うん。言わなくても何となくわかる」
ハルトの言葉にうなずく。
「男が女の子一人を相手にするって、すっごくやり辛いね」
「ああ」
だが、抵抗を感じるこちらとは逆に、水を得た魚同然のスイムスイムは、容赦なく攻め立ててくる。
連撃、斬撃。攻撃に次ぐ攻撃は、ウィザードと龍騎を防戦一方に追い込んでいく。
「ほう……」
その戦いを、トレギアは静かに見守っていた。
ライダーのマスターとサーヴァント。彼らが、アヴェンジャーのサーヴァントと戦っている。
無論、彼らは自らの視線に気付いていない。大きな見滝原ドームの倉庫。その上のフロアの踊り場から、静かにトレギアは眺めていた。
「さて。どうしてくれようか……?」
トレギアは、顎に手を当てた。
だが、その思考時間は長くはない。思考よりも先に、体が移動を選んだ。
飛び退くと同時に、トレギアがいた足場を、黒い光線が破壊する。粉々になったコンクリートを見つめ、
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