魔槍ルーラ
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飛ぶ鳥たちも、まるで絵画になったかのように動かない。
ただ一つの例外。それは、テクテクとウィザードとスイムスイムの間に歩いてきた人形のような存在だけだった。
(モノクマ……!)
ウィザードの面の下は、口さえ動かない。
捉えた視界で、白と黒に二分されたクマの人形型のそれを睨んだ。
『やあ。ハルト君。エンジェルの時はご苦労様。ああ、これはランサーにも言わなきゃね』
(何しに来た……!?)
『うぷぷ。あ、そっか。タイムロックしているから、僕以外は喋れないんだ。あははは』
白黒のクマ、モノクマは、その体を大きく歪めて笑い出す。
『うぷぷ。この勝負、やっぱりフェアじゃないよね』
(フェア……!?)
モノクマは、彫像と化したスイムスイムの手からナイフを取り上げる。
『今、アヴェンジャーは武器がないからね? 前回の部外者との戦いで、大切な武器を無くしちゃったからね。だから、参加者との対戦の時は、ちゃんと武器を提供しま〜す!』
(何を……)
時が止められた中では、ウィザードは何も言うことも出来ない。
そのままモノクマは、顎に手を当ててスイムスイムを見上げる。
『うーん……このまま美人少女をオブジェにしてもいいけど、やっぱりサーヴァントは戦わなくちゃいけないからね。うーん、やっぱりボク、仕事熱心で感心できるねえ!』
(ふざけるな……!)
『オールシーズンバッジ 夏』
モノクマは、どこからか取り出したバッジを氷に取り付ける。すると、彼女の体にだけ、季節が変わる。
冬から夏へ。氷など瞬時に溶かしてしまうそれは、スイムスイムの捕獲をあっさりと融解した。
『もう一丁。無くし物取り寄せ機』
次にモノクマが取り出したのは、モノクマよりも大きな機械。土台にはメガホンをさかさまに置いたような筒が設置されているシンプルな造形。その土台に付属しているコードを、モノクマはスイムスイムの頭に接続した。
『さあ、アヴェンジャー。君の大好きな武器のこと、頭に思い浮かべて』
(一体、何を……?)
だが、静止した時間の中で、ウィザードに出来ることなどない。
やがて、モノクマの出した装置より、それは姿を現した。
銀でできた長槍。シンプルな柄と刃だが、その特殊な形状は、この世界に類を見ない。
『タイムロック解除!』
モノクマがそう宣言すると同時に、体が自由を取り戻す。
ウィザーソードガンに宿った魔力は、ウィザードの集中消失によって途切れており、前のめりになる。スイムスイムもまた、凍り付いた姿勢からの突如の解放で、思わず倒れた。
そのなか、モノクマは何事もなかったかのようにスイムスイムへ長槍を渡す。
『はい、アヴェンジャー。君の大事な大事な武器だよ?』
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