暁 〜小説投稿サイト〜
SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その九
[1/2]
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
その日の夕方、柳哉は稟を昨夜と同じ緑公園に呼び出していた。
「……で、どうだったんだ?」
「まあ、ほぼ間違いないだろうな」
後は楓から話を聞くだけだ、と言う柳哉を少し不満げに見る稟。
「不満か?」
どうやら顔に出ていたらしい。
「……正直に言えば、な」
当時のことを語るのは楓にとって苦痛だろう。稟が不満を持つのも無理はない。
「なあ稟、一つ聞きたいんだが」
「なんだ?」
「お前は楓と恋人になりたいんだろう?」
「……は?」
「……へ?」
何かがおかしい。
「だから楓と恋人になりたいんだろうって聞いてるんだが?」
「いやいきなりそんなこと言われても……」
「……そういうことか……」
柳哉が状況を理解するのと同時に、しまった、とでも言わんばかりの表情が浮かぶ。そう言えば昨夜相談を受けた時にも稟は“楓と付き合いたい”などとは一言も言っていない。ただ内容から柳哉がそう予想しただけに過ぎないのだ。とは言え、柳哉を責めるのは酷、というものだろう。
「……お前は何というか……色々紛らわしいな……」
「いや、どういうことなんだよ」
どうやら稟はまだ気づいていないようだ。
「つまりだ、昨夜お前から受けたのは“恋愛相談”だと俺は判断しているんだが、お前にとってはそうじゃないってことだろう?」
「いや恋愛相談って、どうしてそうなるんだ!?」
「今まで通りの関係でいたいのなら、別に悩むことなんて無いだろう? 何せ、楓の態度が以前と変わらないんだから。故に俺はお前が楓との関係の変化を望んでいる、と受け取ったんだが?」
「!」
ようやく気づいたようだ。柳哉は深いため息をついている。無理もない。
「いやでも……」
「デモもストもあるか。お前はどうしたいのか、もうちょっと考えな。話はそれからだ」
疲れたように言って柳哉は緑公園を後にした。
「……俺は……どうしたいんだ?」
柳哉が去った後、稟の口からはそんな言葉が発せられていた。
* * * * * *
「ただいま」
「おかえりなさい……ってどうしたんですか?」
菫の言葉に苦笑する。顔には出さないようにしていたのだが。
「こんなにあっさり悟られるとは、俺もまだまだだな」
「いえ、私とお母さんくらいにしか分かりませんよ? 多分」
「多分かよ」
そう言って妹の頭を軽く撫でる。
「何するんですか」
口調こそ不満そうだが実際はそんなに嫌がってはいない。というのも、柳哉は髪の毛の扱いが上手い。幼い頃から母、玲亜によって髪や
[8]
前話
[1]
次
最後
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ