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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その八
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うか収拾がつかなくなるんじゃ……」

 そう言う桜も口元が笑っている。当時のことを思い出したのだろう。
 アイスクリームを食べ終わり、ゴミを始末した後、柳哉は二人を見る。

「それで、今日わざわざ二人を呼び出した理由なんですが」

「うん」

「……もしかして……楓のこと?」

「ええ、そうです」

 よくわかりましたねの言葉に、三年の方にも話が伝わって来たから、と返す。

「楓ちゃんがどうしたの?」

「ああ、昨日と一昨日のことなんだが……」


          *     *     *     *     *     *


「そっか、そんなことが……」

「楓ちゃん……」

 シアのファーストキス話、脱衣所での出来事、放課後のキス事件、そして『好きにならないでください』の発言、それらの全てを柳哉は話した。

「おそらく、楓の言動の原因は八年前の事件に関連してると思われるので、二人に話を聞きたい、というのが呼び出しの理由です」

「……」

「……ねえ柳ちゃん、それを聞いてどうするの?」

 口を開いたのは亜沙だった。

「……」

 無言の柳哉。どうやら言葉を探しているようだ。

「友達の力になりたい、という理由では納得できませんか?」

「……」

「昨夜の九時半です。稟から話があるから会いたい、という電話が来たのは。それだけ稟も切羽詰まっていたんでしょう。実際、表情にも余裕が無かった」

「稟君、そこまで……」

「それだけ頼られたんなら、答えなきゃ男が(すた)る、ってものだ」

 おどけたように言う柳哉だが表情は真剣だ。

「……実を言うと、ある程度の予測はついています。そしてその対処法も。ただ……」

「ただ?」

「もしそれが間違っていた場合、最悪、俺は稟と楓に絶交を言い渡されるでしょう」

「!!」

「!!」

 驚愕する亜沙と桜。柳哉は言葉を続ける。

「その可能性を限りなくゼロに近づけるために二人からも話を聞きたいんです」

「で、でも稟君からも聞いてるんだよね?」

「正確に言えば稟からしか聞いていない。楓からも聞くけど、それは最後にだ」

 楓にそれを聞くのは“対処”する直前だ。でなければ意味が無い。

「でも、ボク達の話を聞いても……」

 似たり寄ったりのものでしかない、そう言いたいのだろう。

「いえ、内容はいいんです。ただ、色々な視点から見たいだけの話です」

 当事者である稟と楓、巻き込まれる形になった桜、それを外から見ていた亜沙、そして手紙という形で関わっていた柳哉、この四つの視点から。

「欲を言えば、幹夫さんにも話を聞きたい所ですけどね」

 
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