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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
第三百二十四話 総帥さんその八

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「さっきまではね」
「タキシードだったのね」
「けれどね」
 それでもだ。
「今はね」
「ああしてなのね」
「動きやすい服だよ」
「贅沢な感じもしないし」
「うちの家そんな奢侈な趣味ないしね」
 一族の傾向としてだ。
「だから総帥さんもなんだ」
「質素なの」
「うん、そんな贅沢は」
「されないのね」
「総帥さんは昭和帝を尊敬されているんだ」
 お顔が似ていることは別にして明治帝もとのことだ。
「昭和帝って質素だったね」
「何か物凄い質素だったらしいわね」
「その昭和帝がそうした方だったから」
「総帥さんもなの」
「質素なんだ」
「そうなのね」
「やっぱり資産が凄いからそれなりのお暮しだけれど」
 ベッドは絹のもので天幕だ、物凄い広さのお部屋の真ん中にそのベッドがあってそこで休まれている。
「けれどね」
「趣味としてなのね」
「贅沢じゃないんだ」
「そうなのね」
「資産に見合うよりも遥かにね」
「質素なのね」
「そうなんだ、それで一族全体でね」
 僕も含めてだ。
「代々ね」
「そんな贅沢じゃないのね」
「そうなんだ」
「そういえば義和も」
 香織さんはここで僕も見て言った。
「あまりね」
「贅沢じゃないよね」
「これといってね」
「お金は貰ってるけれどね」
 八条荘の管理人としてだ、一年で言うと四百万位だ。
「けれどそんなあれ買ってこれ買ってとか」
「そういうのないわね」
「贅沢な暮らしとかもね」 
 こうしたものもだ。
「特にだよ」
「そうした生活よね」
「親父もね」
「贅沢じゃないわね」
「遊び人でもね」 
 このことは事実でもだ。
「贅沢とはね」
「違うのね」
「東京に行くと銀座に行ったり」
 そうしたりだ。
「京都で舞妓さん呼ぶことはあっても」
「贅沢じゃないの」
「借金はしないし」
「自分の稼いだお金でなのね」
「遊んでいて家にもお金は入れてくれて」
 そうしてだ。
「宵越しのお金は持たないんだ」
「それは贅沢じゃないわね」
「僕にはちゃんとお金は渡してくれて」
 今も親だからと笑って送ってくれている。
「それで残ったお金でね」
「遊んでるのね」
「僕の将来のお金も置いてくれてね」
 そのうえでだ。
「宵越しにはなんだ」
「そうした人なの」
「うん」
 それが親父だ。
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