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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その七
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し、思いつかない、と柳哉は言う。

「楓には気にするなって言ってるんだぞ」

「いや無理だろう。気にしないわけがない」

「いや、でも……」

「考えてみろ。もしお前と楓の立場が逆だったとして、楓に“私は気にしていないですから稟くんも気にしないでください”って言われて“分かった、気にしない”って言えるか?」

「! それは……」

「ま、言えるわけないな」

「……」

 内心で胸を撫で下ろす。もしここで稟が“言える”と答えたなら、稟との付き合い方を根本的に変えなければならなくなるところだった。

「なあ稟」

「……何だ?」

「桜からある程度まで聞いちゃあいるが……結局どういう経緯でそうなったんだ?」

「……正直、あんまり気持ちのいい話じゃないぞ?」

「俺が自分の意思で聞くんだ。気分が悪くなったとしてもそれはあくまでも俺の自己責任だ」

 その言葉を聞き、稟は話し始める。八年前の事件の内容とその後の出来事を。


          *     *     *     *     *     *


「……なるほどね」

「……笑わないのか?」

「どこに笑う要素があった?」

 呆れる要素ならいくつかあったが。稟はどうやら“子供の浅知恵”あるいは“馬鹿な事をした”と思っているようだ。

「その時はそれが最善だと思ったんだろう? それに、過去の事に関してなら誰にでも最善策が言えるもんだ。自分が関わってない事をああだこうだ言うつもりもない」

 絶対に正しい対処法などというものは存在しない。例えば“1+1=2”という数式でさえ絶対に正しいわけではない。世の中には“1+1=2”という数式が成立しない世界が確かに存在している。日常生活の中では触れる機会が無いだけの話なのだ。

「しかし、お前は本当、相変わらずだよな」

「どういうことだ?」

「相変わらず馬鹿だってことさ。しかも底抜けのお人好しときてる」

「いや馬鹿って……」

「褒めてるんだよ」

 全く褒められている気がしない。

「ま、どうにか糸口は掴めた」

「本当か!?」

「ああ、とはいえまだ確証があるわけじゃない。言ってしまえば俺の妄想でしかない」

 ほぼ確定だとは思うが。

「だからこそ、だ」

 桜と亜沙先輩にも聞きに行く、と言った柳哉に渋い顔をする稟。

「わざわざあの二人に聞かなくても……」

「お前の言いたいことは分かる。二人に迷惑掛けたくない、とか特に桜には辛い記憶を思い出させたくない、とかそんなところだろ?」

 図星を指されたのだろう。黙り込み、ストローに口をつける。

「稟、お前はあの二人のこと、好きか?」

「!?
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