暁 〜小説投稿サイト〜
SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その六
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 あれから、どうやって帰ってきたのか全く記憶が無い。気づけば自室のベッドの上だった。明かりを点けてさえいない。

(……どういうことなんだ……?)

 楓の考えていることが分からない。愛している、でも好きになるな? 明らかな矛盾だ。

(……)

 八年前のことが関係しているのだろうか? いやでもそのことは気にするな、と言っている。

(……分からない……)

 ふと喉の渇きを覚える。不思議なもので、自覚した途端に水分が欲しくなる。少し気分を変えよう、とキッチンへ向かう。冷蔵庫から麦茶を出してコップに注ぎ、一気に(あお)る。ついでに軽く顔を洗う。煮詰まっていた頭が冷える感覚があった。

『あまり思い詰める前に誰かに相談しろよ』

 それと同時に今日、柳哉が言っていたことを思い出す。時計を見る。午後九時半。大丈夫だろう。

(……よし)

 柳哉に話す時が来たようだ。予想外に早かったが、結局遅かれ早かれ話すことになっただろう。両頬を軽く叩いて気合を入れ、電話機に向かう。

(こんな時携帯電話があれば便利なんだろうな)

 意外かもしれないが現在、芙蓉家で携帯電話を所有しているのは幹夫だけだ。居候の身でそこまでの贅沢はできない、というのが稟の言い分であり、稟くんが持たないのなら私も、というのが楓の言い分である。

(アルバイトでもするかな)

 そんな事を考えながら受話器を取った。
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