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SHUFFLE! ~The bonds of eternity~
第二章 〜罪と罰〜
その六
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後。

「稟くん、牛乳を切らしちゃったので買って来ますね」

「ああ、俺も行くよ」

「一人で大丈夫ですよ?」

「ちょっと買いたい物もあるし、護衛も兼ねてな」

 そう言って稟は楓と共に家を出た。


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 買い物を終えて、家路に付く。結局稟は何も買わなかった。そもそもそれはただの口実でしかない。

「なあ楓、ちょっと寄り道しないか」

「はい、いいですよ」

 そう言って光陽公園へ向かう。楓と話をするためだ。
 あの後柳哉と別れ、帰宅した稟を待っていたのはいつもと変わらない様子の楓だった。あまりにもいつも通りなので拍子抜けしてしまい、話すタイミングがつかめなくなったのである。

「……いい風ですね」

「……ああ、そうだな」

 しばし、風に身をゆだねる。残暑が厳しいとはいえ、秋の到来を感じさせる。そんな風だった。沈黙の後、稟が口を開いた。

「楓、昼間のことだけど、どうしてあんな……」

「好きだからしました」

「……」

 即答され、言葉に詰まる稟。

「あれは、多分私の願望だったんだと思います。稟くんのことが好きで好きでたまらないのに……だけど一歩下がってしまっていた私の……」

 今まではそれでも良かったのだろう。しかし、

「その……昨夜の件で……意識するようになってしまって……」

「昨夜って……あの時の……?」

 はい、と頷く楓。顔を赤らめている。恥ずかしいのだろう。

「私は、稟くんのことが好きです」

 まっすぐな告白。だが、

「俺は……」

 答えられない。少なくとも楓に対して好意を抱いているのは確かだ。しかし本当に一人の男として楓を愛しているか、となると自信が無い。こんな中途半端な想いで楓の告白を受け入れてもいいのだろうか? 葛藤する稟。

「答えてくれなくてもいいです。いえ、むしろ答えないでください」

「? どういう……」

「一人の男性として……この地球上でただ一人の相手として……芙蓉楓は土見稟くんを愛しています。」

 ですから、と続けて、

「私を、好きにならないでください」

 困惑する稟。当然だろう。愛している、という告白の後に、自分を好きになるな、とはどういうことなのか。

「私には、稟くんに愛してもらう資格なんて無いんです。勝手なことを言っているのはよく分かっています。稟くんが怒っても仕方のないことだと思います。でも……」

 好きでいさせてください。そう言った楓に稟は何も言えなくなってしまった。


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