第一物語・前半-未来会議編-
第十五章 青の雷竜《2》
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
雨が落ちてくる空を見上げ、物思いにしばし更けた。
そのなかでも、日来の長は歩き続ける。
●
「おい! 聞いてん……だろ、宇天の長さんよ!」
セーランは前に飛ばすように、痛みが走る体を引きずりながら言った。
口のなかは鉄を舐めた感じとそっくりで、左腕は力が入らない。
そんな体で、セーランは叫ぶ。
「俺は、お前の頭を、ぶん殴りに来た。死んでも構わねえ、ような、こと言ってる。そんなおかしな頭、をさ」
続ける。
「仲間はお前を、助けたくて。お前は、死を望んでて、よく分かわねえけど。俺は、お前に生きていてほしい」
だから、
「生きろよ! 死ぬなんて、そんな、ことを……簡単に、口にするなよ」
セーランは傷ついた左の腕を、何かを掴むように前に出した。
その手は震え、赤い液が滴り落ちる。
「俺は、俺はさ。お前のことが好きだからさ、死んでほしくねえんだよ」
頼む、
「だから、まだ。お前の元に行くまで――」
その時まで、
「死なないでくれよ!!」
泣いた。
両目からは涙がこぼれ、肌を伝う。
セーランは必死に、そう力一杯に叫んだ。
雨はそんな彼の涙を流すように、強く降り、その傷ついた身体へと落ちた。
誰しもがその光景を、ただ黙って、静かに、見続けていた。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ