第一物語・前半-未来会議編-
第十五章 青の雷竜《2》
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のか、入れてないのか分からない。
押しているのだろうが、押し返されている。
「もう諦めたらどうなの、そんな腕ではもう無理でしょうに」
「あ? ああ、それ無理。それでもやんなきゃ行けねえんだわ、せめてあいつには生きてもらわねえと」
「だから貴方には関係無いって言ってるでしょ! もう勘弁してよ、もう、もうもうもうもう限界なの! 貴方がいると奏鳴様は苦しむことになるの。だから――」
だから、
「終わりなさいよ、日来の長!!」
その言葉の後、流魔光は飛び散り、消えた。
雨降る空間へと二人は戻った。
そして、皆は見た。
セーランを食らおうとする、巨大な雷の波を。
その雷は実之芽のまとう雷から現れており、拳を交わしているセーランへと迫る。
あ、から始まる言葉を日来住民は叫び、そして雷の波がセーランを覆った。
一瞬の沈黙。
それを掻き消すように、雷鳴が爆発し、雷の波は周囲数十メートルを洗い流した。
閃光が放たれ、西二番貿易区域が光に照らされた。
その場に立つ者が一人いる。
実之芽だ。
だが、勝利は確信してはいない。
彼女の目の前。離れた場所に、セーランが立っていた。
荒く呼吸をし、彼の衣服は所々焼けたような傷があり、全身は軽く焼けている。
それでもなお、こちらに立ち向かおうとするセーランに対し、実之芽は動いた。
まるで壊れかけの機械が動いているように歩くセーランへ向かって、地を蹴り距離を縮めた。
「……っ!?」
セーランは突如、顔を掴まれた感覚を覚えた。
それは正しかった。
こちらとの距離を縮めた実之芽により、顔面を彼女の雷がまとった左の手で掴まれていた。
そして今自分は、背後へと動いている。
彼女が前に進んでいるのだ。
その狙いは解っている。
背後。端に寄せているコンテナに、こちらの身をぶつけようとしてるのだ。
抵抗はしたいが、体が動かない。
雷の波を受けて、体が限界を越えたのだ。
さすがに、もう無理だと感じた。
そして、背後。頭から硬いものへと激突した衝撃と共に、痛みが全身を襲った。
「ああああああ!!」
痛みが体を駆け巡り、脳へと伝わる。
その痛みから体が壊れたように、自身の意思を無視し体は暴れ、傷みから逃げようとする。
しかし、実之芽はそれを力づくで押さえ込み、黙らせるようにコンテナにぶつける。
頭から、彼の頭蓋を割るように容赦なく。
十個程の鉄製のコンテナにぶつけた後、止めとし目の前に置かれているコンテナへと最後の一撃を放った。
●
実之芽は、掴んだものが動かなくなったことを感じた。
最後の一撃として、コンテナにぶつけたのが決め手となったらしい。
ゆっくりと掴んだ左手を離し、彼の様子を確認した
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ