第一物語・前半-未来会議編-
第十五章 青の雷竜《2》
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だろう。
そんな考えを持った、直接監視中のときから色々と策は練っていた。
手を交えていない相手に挑むことは得策ではないが、交えたことで今後にいかせるのならばそれは得策だろう。
ここで逃げてしまえば、後悔する。
全力のぶつかり合いは楽しいものだ、そう思う。
目の前に拳を構える宇天の隊長は、ぶつかったといのために体勢を整えている。
対するこちらは、心許ない左腕に力を込め、拳に流魔操作で自身の内部流魔をアーマー代わりにまとわせる。
距離にして後十メートル。
何秒もしない後に、ぶつかることになるだろう。
皆が見ている前で、臆病なことは出来ない。
もしもカッコ悪く負けても、仲間達に何か感じるものがあればそれでいい。
これを起こしために、社交院は覇王会と会議を設けるだろう。
そうしなければ、黄森から何を言われるかは分からず、危機に近づくことになる。
日来を残すため、日来住民にそのことを伝えるときはその会議のときだ。
行こうか!
そう決心し、迷いのない疾走で拳を交わしに行く。
そして眼前に迫った実ノ芽に向かい、拳を力任せに振った。
実之芽も雷電をまとった拳を、セーランが放った拳にぶつける。
ぶつけた衝撃と共に、硝子が割れる音と、爆風が爆発した。
●
ぶつかったときの衝撃によって、飛び散った流魔光により二人は包まれた。
それでも互いの拳はぶつかったままで、しかし触れはしない。
拳と拳の間に、まるで透明な壁があるように。
その光のなかで、二人は語り合った。
「流魔光がこんなに発生するってことは、互いに本気で本気の一撃ってわけだ」
「流魔は意思を伝える性質があり、意思が強ければ流魔は活性化するものね」
「さすがに他人の意思は分からないけど」
「当たり前よ、貴方と意思を交わすなんて恥じを晒すのと同じよ」
「酷い言われようだな」
笑い口を歪めるセーランは、拳から来る痛みを堪えていた。
流魔操作によりまとわせたアーマーはひびが入り、治り、また入るの繰り返しだ。
その度に内部流魔を消費しるので危険なのだが、そうしなければ雷撃を食らってお仕舞いだ。
流石のセーランも、これ以上の雷撃を食らうのは避けたい。
腕からは、焼かれているような、それに似た痛みが走ってくる。
その痛みに逆らい、無理に拳を入れたときだ。
耳を疑うような、変な音がした。
軟らかいものがつぶれる音。
それは何かと、自分の腕を見ると、
「クッソが……」
腕は痛みに耐えきれず、真っ赤に染まっていた。
赤の液体は、自分の腕から出ていた。
流魔でおおっているが、それを無視して雷撃が腕を食らったのだ。
既に麻痺して痛みは感じられないが、火傷の状態は酷い。
力を入れている
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